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第5-5回 本人情報の整理

成年後見申立支援で本人情報をどう整理するか
生活状況・判断能力・金銭管理・支援体制を具体的事実でまとめる

「認知症だから後見」と書いてはいけません。新人行政書士が、本人の生活、意思、医療・介護、財産管理、親族・支援者、困りごとを、申立てに必要な基礎情報として整理する。

対象:新人行政書士カテゴリ:5 成年後見申立支援業務回番号:5-5

1. この回の到達目標

この回の目的は、新人行政書士が、成年後見申立支援において、本人の生活状況、健康状態、判断能力の状況、医療・介護サービス、住居、家族関係、支援者、困りごとを整理し、申立てに必要な基礎情報としてまとめられるようになることです。

  • 本人の基本情報、生活状況、医療・介護、判断能力、金銭管理、契約トラブル、支援者の状況を聞き取り、整理できる。
  • 「認知症だから後見」ではなく、「いつ、どこで、何が起き、どのような不利益があるか」を具体的事実で記録できる。
  • 本人から聞いた情報と、家族・ケアマネジャー・地域包括支援センター・施設職員等から聞いた情報を区別できる。
  • 本人の意思をできる限り確認し、制度利用や支援をどう受け止めているかを整理できる。
  • 本人情報整理表を作成し、本人情報シート作成依頼、医師の診断書、財産資料、収支予定表、親族関係資料へ接続できる。
  • 行政書士が行える事実整理・資料収集支援・関係機関連携・予防法務提案と、他士業に連携すべき事項を区別できる。
前回の要点5-4では、誰が申立人になるか、本人申立て、親族申立て、市区町村長申立ての可能性を確認しました。今回は、その次の段階として「なぜ後見等の申立てを検討するのか」を事実面から固めます。

2. この業務が必要になる実務場面

親族からの相談

「母が認知症で、銀行の手続ができなくなりました。成年後見を申し立てたいです。」という相談では、診断名だけでなく、生活場所、金銭管理者、通帳・印鑑・カードの保管状況、本人の意思、親族間対立、任意後見契約や財産管理等委任契約で対応可能な段階かを確認します。

施設・病院からの相談

「入所者の支払いが滞っており、契約更新や医療方針の説明場面で家族も動いてくれません。」という相談では、施設や病院が求めているものを分解します。

医療同意の誤解防止成年後見人等には、原則として医療行為そのものに対する同意権はありません。施設・病院が求めているのは、医師説明への同席、本人意思確認の調整、家族連絡、支払い管理、施設・介護サービス契約管理、退院調整のどれなのかを分けて記録します。

地域包括支援センター・ケアマネジャーからの相談

一人暮らしの高齢者が訪問販売で高額契約を繰り返す、通帳が見当たらない、郵便物が溜まる、公共料金が滞るといった相談では、消費者被害、金銭管理能力、契約理解、生活リスク、本人の拒否感、地域支援の限界を整理します。

おひとりさま・おふたりさまの相談

おひとりさまでは、親族不在、申立人候補の不明確さ、緊急連絡先の空白が問題になります。おふたりさまでは、同居パートナーが法的親族ではないことがあり、本人の意思、法的親族、任意後見等の締結可能性を慎重に確認します。

3. 基本知識

本人情報整理の目的

本人情報整理は、単なるプロフィール作成ではありません。成年後見等の申立てが必要か、任意後見契約や財産管理等委任契約で足りるか、医師・福祉職・家庭裁判所・申立人候補が共通理解を持てるかを左右する基礎作業です。

避ける記載

本人は認知症なので成年後見が必要である。

望ましい記載

令和○年○月以降、家賃・電気料金の支払いを複数回失念し、督促を受けている。訪問販売契約について契約金額、支払方法、契約書の保管場所を説明できず、金銭管理・契約管理に継続的支援が必要と考えられる。

評価を断定しない行政書士は「判断能力なし」「後見相当」「保佐相当」「補助相当」と断定しません。後見・保佐・補助の法的評価は、医師の診断および家庭裁判所の判断に委ねられます。

今回扱う情報と扱わない情報

今回扱う情報 詳細を次回以降に譲る情報
氏名、生年月日、住所、実際の居所、生活場所、健康状態の概要、通院先、服薬状況、介護認定、障害福祉、年金、生活保護、判断能力に関する困りごと、金銭管理、契約、郵便物、支払い、詐欺被害、親族、支援者、本人の意思、後見申立てが必要と考えられる具体的理由 医師の診断書の詳細、本人情報シートの詳細作成、財産資料・収支資料の詳細収集、親族関係図、成年後見申立書そのもの、医療・介護専門判断、生活保護・介護保険・障害福祉制度の詳細

本人情報シートに関する行政書士の立場

作成主体を誤らない本人情報シートは、原則として本人を日頃から支援している福祉関係者、たとえばケアマネジャー、地域包括支援センター職員、施設相談員、相談支援専門員等が作成します。行政書士は福祉職の代わりに作成しません。行政書士の役割は、作成依頼の調整、本人情報整理表との情報整合性確認、関係機関連携に限ります。

行政書士の役割と限界

行政書士は、本人情報整理、面談記録、資料収集支援、関係機関連携、福祉職への本人情報シート作成依頼の調整、任意後見契約・財産管理等委任契約・見守り契約・死後事務委任契約等の予防法務に関与できます。一方、家庭裁判所への代理申立て、紛争交渉、契約取消・返金請求、登記申請代理、税務判断、医学的判断には踏み込みません。

4. 実務の進め方

図解1|本人情報整理の実務フロー
①相談経路
本人、親族、施設、病院、地域包括支援センター、ケアマネ等、誰からの相談かを確認。
②本人確認
氏名・住所・生年月日・実際の居所を確認。マイナンバーは取得・記録・保管しない。
③意思確認
本人が何を望むか、制度利用をどう受け止めるか、誰に支援してほしいかを確認。
④生活状況
自宅・施設・病院、食事、服薬、郵便物、支払い、住まいの希望を確認。
⑤医療介護
診断名の概要、主治医、通院、服薬、介護認定、利用サービスを確認。医学的判断はしない。
⑥判断能力
金銭管理、契約理解、役所・金融機関手続、詐欺被害を具体的事実で確認。
⑦関係者
親族、支援者、ケアマネ、地域包括、施設職員、病院相談員からの情報を同意に基づき整理。
⑧整理表作成
本人情報整理表、面談記録、同意記録を作成し、次回の診断書・本人情報シートへつなぐ。

本人確認の注意

確認資料には、マイナンバーカード、運転免許証、資格確認書、健康保険証、介護保険証、障害者手帳、年金証書、年金振込通知書、診察券、施設入所契約書、住民票等があります。健康保険証はマイナ保険証への移行が進んでいるため、資格確認書やマイナンバーカードでの確認も想定します。

マイナンバーの厳格管理本人確認でマイナンバーカードを見る場合も、確認するのは表面の氏名・住所・生年月日等に限ります。裏面の個人番号は見ない、写さない、コピーしない、撮影しない、本人情報整理表に記載しない。住民票も原則としてマイナンバー記載なしを取得します。

本籍地の扱い

本籍地は戸籍取得時に必要ですが、初期面談で必須項目のように扱う必要はありません。本人や相談者が把握していないこともあるため、親族関係調査や戸籍取得が必要になった段階で正確に確認します。

個人情報取得の原則と例外

本人の同意なく、本人の個人情報を広く聞き回ってはいけません。誰に、何の目的で、どの範囲の情報を確認するかを説明し、同意を得て記録します。ただし、虐待、放置、緊急保護、生命・身体への危険が疑われる場合は、本人同意だけを理由に対応を止めず、地域包括支援センター、市区町村、弁護士等と連携して必要最小限の範囲で対応します。

5. ヒアリング項目

本人基本情報

  • 氏名、ふりがな、生年月日、年齢、性別
  • 住民票上の住所、実際の居所、電話番号
  • 健康保険、介護保険、障害者手帳、年金、生活保護
  • 本籍地は戸籍取得が必要になった段階で確認
  • マイナンバーは取得・記録・保管しない

生活状況

  • 自宅・施設・病院の別、同居人、住居の所有・賃貸
  • 食事、入浴、排せつ、着替え、移動、買い物
  • 郵便物、家賃、公共料金、近隣トラブル、火の管理
  • 本人の住まいに関する希望

医療・介護

  • 診断名の概要、主治医、医療機関、通院頻度
  • 服薬管理、入院歴、介護認定、ケアマネ、利用サービス
  • 病院が求める支援を説明同席・調整・支払い・契約管理に分解
  • 医療同意権について誤った説明をしない

判断能力・困りごと

  • 金銭管理、支払い、契約理解、郵便物処理
  • 役所・金融機関手続、医療・介護契約、詐欺被害
  • 本人の発言と客観資料の不一致
  • 「判断能力なし」と断定しない

金銭管理・契約

  • 通帳、キャッシュカード、印鑑、暗証番号
  • 年金口座、家賃、施設利用料、滞納、借入
  • 訪問販売、定期購入、リフォーム、健康食品・器具
  • 金融機関照会は権限根拠を確認

親族・支援者

  • 配偶者、子、兄弟姉妹、甥姪、事実婚・同性パートナー
  • ケアマネ、地域包括、施設職員、病院相談員、民生委員
  • 支援可能性、関係良否、利益相反、音信不通
  • おひとりさま・おふたりさま特有の支援関係

6. 判断フロー

図解2|後見申立てか予防法務かを分ける視点
具体的支障あり
支払い滞納、契約トラブル、郵便物放置、詐欺被害、通帳・印鑑紛失、施設・退院手続困難があるか。
本人意思
本人が制度利用や支援を理解・希望しているか。拒否の理由や誤解を確認する。
任意支援
契約締結能力があれば、任意後見契約、財産管理等委任契約、見守り契約等の行政書士業務へ接続。
法定後見
契約理解が困難、継続的財産管理が必要、悪質商法被害が続く場合は法定後見申立支援を検討。
緊急対応
退院期限、退去リスク、ライフライン停止、虐待・放置、生命・身体の危険があれば関係機関へ連携。
受任範囲
行政書士は本人情報整理、資料収集支援、関係機関連携、予防法務を担当。代理申立て、紛争交渉、医学的判断は行わない。

金融機関照会の判断

照会権限の確認行政書士であることだけでは金融機関への照会権限はありません。本人同行、本人同意、有効な委任状、法定後見開始後の登記事項証明書等、権限根拠を必ず確認します。判断能力に疑義がある状態での委任状取得は慎重に扱います。

7. 作成・確認する書類

書類 主な記載事項
本人情報整理表 基本情報、相談情報、生活状況、医療・介護、判断能力、金銭管理、親族・支援者、本人の意思、後見申立てが必要な理由、予防法務への接続可能性、情報源
面談記録 日時、場所、出席者、本人の様子、本人の発言、相談者・支援者の発言、確認資料、同意、受任範囲、他士業連携、マイナンバーを取得していない旨
同意書・情報共有確認書 情報取得先、取得目的、共有範囲、使用範囲、署名、同意撤回、生命・身体保護が必要な例外場面の有無
資料確認メモ 介護保険証、資格確認書、診察券、年金通知、通帳、督促状、訪問販売契約書、施設契約書、ケアプラン、請求書、領収書
本人情報整理表の必須視点情報源を「本人からの聞き取り」「親族からの聞き取り」「ケアマネからの聞き取り」「施設職員からの聞き取り」「書類で確認」「行政書士が面談時に確認」に分けます。

8. 文例・記載例

基本情報

記載例

本人:山田花子。住所:東京都○○区○○。現居所:同上、自宅で一人暮らし。相談者:長男。相談経路:地域包括支援センターから紹介。相談内容:公共料金の滞納、訪問販売契約、金銭管理困難。本籍地は初期面談時点では未確認であり、戸籍取得が必要になった段階で確認予定。本人確認にマイナンバーカード表面を確認したが、裏面の個人番号は確認・記録・コピーしていない。本人情報整理表にもマイナンバーは記載していない。

生活状況

記載例

本人は自宅マンションで一人暮らし。週2回デイサービス、週1回訪問介護を利用。郵便物が未開封のまま玄関付近に積まれ、令和○年○月以降、電気料金・管理費の督促状が複数届いている。本人は「家にはいたい」と繰り返し述べており、自宅生活継続の希望が強い。

医療・介護

記載例

令和○年○月、○○クリニックにて認知症の診断を受けたとの家族説明あり。現在、月1回通院。服薬はあるが、本人は薬の内容を説明できず、飲み忘れがある。要介護1。本人情報シートは担当ケアマネジャーに作成依頼を調整する予定。行政書士は本人情報シートを代わりに作成せず、作成依頼の調整、本人情報整理表との情報整合性確認、関係機関連携を行う。

医療機関・施設が求める支援

記載例

病院相談員から「医療同意者が必要」との説明があったが、詳細を確認したところ、医療行為そのものへの同意ではなく、医師からの説明同席、退院後の施設調整、入院費の支払い管理、介護サービス契約の調整、親族連絡が課題であった。成年後見人等には原則として医療行為への同意権はないため、説明同席・調整・支払い管理・契約管理の問題として整理する。

判断能力・金銭管理

記載例

本人は電気料金について「払っていると思う」と述べたが、督促状により令和○年○月分から○月分まで未納が確認された。訪問販売による浄水器契約について、契約金額や支払方法を説明できなかった。判断能力の医学的評価は主治医の診断書による確認が必要であり、後見・保佐・補助の法的評価は家庭裁判所の判断に委ねられる。

非弁行為リスク

記載例

訪問販売契約について契約取消や返金交渉が必要となる可能性があるため、消費生活センターまたは弁護士への相談を要する。行政書士は相手方との交渉、行政書士名義での返金請求書・契約取消通知・内容証明等の法的請求書面の作成・送付を行わない。

10. 新人が間違えやすいポイント

誤り 正しい対応
「認知症だから後見」と書く 支払い滞納、契約理解困難、郵便物放置、詐欺被害など具体的事実を書く。
家族の話だけで整理する 本人面談、本人の発言、第三者情報、客観資料を確認する。
同意なく支援者へ聞き回る 本人同意を得て範囲を限定。生命・身体保護が必要な例外場面は関係機関と連携。
本人の拒否を無視する 拒否の理由、制度誤解、自宅生活希望、誰に支援してほしいかを確認。
行政書士が医学的・法的評価を断定する 後見・保佐・補助の評価は医師と家庭裁判所に委ねる。
マイナンバーを記録する カード表面のみ確認。個人番号は取得・記録・保管しない。
後見人に医療同意権があると説明する 説明同席、調整、支払い、契約管理の問題に分けて整理。
相手方へ行政書士名義で請求書面を送る 非弁リスクが高いため避け、弁護士や消費生活センターへ連携。
本人情報シートを行政書士が作る 福祉職が作成。行政書士は依頼調整・整合性確認・連携に限る。
金融機関へ当然に照会できると考える 本人同意、委任状、登記事項証明書等の権限根拠を確認。
本籍地を初期面談で必須扱いする 戸籍取得が必要になった段階で正確に確認する。

11. トラブル予防策

  • 受任範囲を明確にし、本人情報整理、資料収集支援、関係機関連携、予防法務契約作成と、行わない業務を分けて説明する。
  • 家庭裁判所への代理申立て、紛争交渉、行政書士名義での法的請求書面作成・送付、医学的判断、登記、税務判断は行わない。
  • 本人情報シートは福祉職が作成するものであり、行政書士は作成依頼の調整、情報整合性確認、関係機関連携を行う。
  • 病歴、介護、財産、家族関係、生活保護、障害、消費者被害などの個人情報は共有範囲を限定し、不要なコピーを作らない。
  • 本人同意を記録し、生命・身体保護が必要な例外場面では地域包括支援センター、市区町村、弁護士等と連携する。

12. ケーススタディ

事案

Aさん82歳。夫とは死別し子はいない。兄弟は遠方で疎遠。自宅マンションで一人暮らし。要介護1で、週2回デイサービス、週1回訪問介護を利用。地域包括支援センターから、家賃・電気料金の滞納、訪問販売による健康器具30万円の契約、郵便物放置について相談があった。本人は「自分は大丈夫」「支払いはしている」「家にはいたい」と話すが、督促状が複数あり、契約内容は説明できない。病院相談員からは「医療説明や退院先調整のため、家族か後見人のような人が必要ではないか」と言われている。

確認すべきこと

  • 相談者と本人の関係、本人同意、申立人候補、親族の有無、市区町村長申立ての可能性。
  • 本人確認。マイナンバーカードは表面のみ確認し、個人番号は取得・記録・保管しない。本籍地は戸籍取得段階で確認。
  • 生活状況。自宅生活継続の希望、食事、服薬、郵便物、家賃・公共料金、退去・停止リスク。
  • 金銭管理。通帳、印鑑、カード、年金口座、滞納額、訪問販売契約、金融機関照会の権限根拠。
  • 医療・退院調整。病院が求めるのは医療同意か、説明同席、本人意思確認、退院調整、支払い管理、契約管理か。
  • 本人の意思。自宅生活、支払い管理支援、親族連絡、制度利用、誰に支援してほしいか。

整理例

本人情報整理表への記載

本人確認に際し、マイナンバーカード表面で氏名、住所、生年月日を確認した。裏面の個人番号は確認・記録・コピー・撮影していない。家賃滞納通知と電気料金督促状を確認。本人は「支払いはしている」と話すが、領収書や振込記録を示すことはできなかった。健康器具購入契約について契約金額、支払方法を説明できず、契約取消や返金請求は消費生活センターまたは弁護士へ相談する。行政書士は相手方との交渉、行政書士名義での法的請求書面の作成・送付を行わない。病院が求める主な課題は、医師説明への同席、本人意思確認支援、退院先調整、入院費支払い、介護サービス契約管理、親族連絡であり、成年後見人等に原則として医療行為への同意権はないため、医療同意とは分けて整理する。本人情報シートはケアマネジャーまたは地域包括支援センター職員に作成依頼を調整し、行政書士は代筆しない。後見・保佐・補助の法的評価は医師と家庭裁判所に委ねる。

13. 実務チェックリスト

基本情報

  • 氏名・生年月日・住所・実際の居所を確認
  • 本籍地は戸籍取得段階で確認予定
  • マイナンバーを取得・記録・保管していない
  • カード裏面をコピー・撮影していない
  • 住民票は番号記載なしで取得予定

相談・申立人

  • 相談者と本人の関係を確認
  • 本人同席・本人同意を記録
  • 申立人候補を確認
  • 市区町村長申立ての可能性を検討
  • 利益相反を確認

生活・医療介護

  • 生活場所と住まいの希望を確認
  • 郵便物・支払い・生活リスクを確認
  • 主治医・通院・服薬・介護認定を確認
  • 本人情報シート作成主体を確認
  • 医療同意と調整・支払い・契約管理を区別

判断能力・金銭管理

  • 契約理解と支払い滞納を確認
  • 通帳・印鑑・カードを確認
  • 詐欺・悪質商法被害を確認
  • 後見相当等と断定していない
  • 金融機関照会の権限根拠を確認

本人意思・関係者

  • 本人と面談し発言を記録
  • 拒否や不安の理由を確認
  • 支援者・親族・パートナーを確認
  • 情報取得の同意を確認
  • 生命・身体保護の例外場面を確認

連携・受任範囲

  • 非弁リスクを確認
  • 弁護士・司法書士・税理士連携を判断
  • 行政書士名義の法的請求書面を送らない
  • 本人情報シートを代筆しない
  • 次回資料収集の宿題を整理

14. 確認テスト

問1

本人の家族から「母は認知症なので後見申立てをしたい」と相談された。最初に確認すべきことを3つ挙げなさい。

本人の生活上・財産上・契約上の具体的困りごと、本人の意思や制度利用への反応、相談者と本人の関係・申立人候補・親族支援者の状況。
問2

「認知症だから後見が必要」と記録することが不適切な理由は何か。

診断名だけでは、どの場面で判断や手続に困っているか分からないため。支払い滞納、契約理解困難、郵便物放置、詐欺被害など具体的事実が必要。後見・保佐・補助の別は医師と家庭裁判所の判断に委ねる。
問3

ケアマネジャーから本人の生活状況を聞き取る際の注意点は何か。

本人または適切な関係者の同意を得る。評価と客観的事実を分ける。本人情報シートはケアマネ等の福祉職が作成し、行政書士は作成依頼の調整、情報整合性確認、関係機関連携を行う。
問4

おひとりさま高齢者で、親族が疎遠、支払い滞納と訪問販売被害がある場合の連携先はどこか。

地域包括支援センター、市区町村、ケアマネジャー、主治医、消費生活センター、弁護士等。返金交渉や契約取消交渉、行政書士名義での法的請求書面作成・送付は避ける。
問5

本人が「家にいたい」と希望する一方で金銭管理が困難な場合、どう記録するか。

自宅生活継続の希望を明確に記録しつつ、支払い滞納や契約トラブルなど金銭管理上の具体的困難も記録する。本人の意思と支援の必要性を両方整理する。
問6

マイナンバーカードを本人確認資料として確認する場合の注意点は何か。

表面で氏名、住所、生年月日等を確認する。裏面の個人番号は見ない、書き写さない、コピーしない、撮影しない、記録しない。本人情報整理表にも記載しない。
問7

成年後見人等には医療同意権があるか。

原則として医療行為そのものへの同意権はない。医療機関が求めるものが説明同席、本人意思確認、家族連絡、支払い、契約管理、退院調整のどれかを分けて整理する。
問8

訪問販売被害について行政書士が注意すべき非弁行為リスクは何か。

返金交渉、契約取消交渉、損害賠償請求などは弁護士業務。行政書士名義で内容証明、返金請求書、契約取消通知等の法的請求書面を作成・送付することも避ける。
問9

金融機関に本人の口座情報を確認したい場合の注意点は何か。

行政書士であることだけでは照会権限はない。本人同行、本人同意、有効な委任状、法定後見開始後の登記事項証明書等、権限根拠を事前に確認する。
問10

本籍地は初期面談で必ず確認すべきか。

本籍地は戸籍取得時に必要だが、初期面談で必須とは限らない。本人や相談者が把握していないこともあるため、親族関係調査や戸籍取得が必要になった段階で正確に確認する。

15. 次回への接続

今回の要点本人情報整理は、診断名や家族の希望を並べる作業ではありません。本人の意思を中心に、生活上・財産上・契約上の具体的事実を記録し、医師の診断書、福祉職による本人情報シート、財産資料、収支予定表、親族関係資料へつなげる土台です。

次回5-6では、医師の診断書と本人情報シートを扱います。本人情報シートは福祉関係者が作成するものであり、行政書士は作成依頼の調整、本人情報整理表との整合性確認、医師・福祉職・申立人候補との連携を担当します。5-7以降では、財産資料、収支予定表、親族関係資料、後見人候補者、家庭裁判所手続の流れへ進みます。

行政書士実務マニュアル|成年後見申立支援業務 第5-5回

本記事は教育・研修目的です。個別案件では最新法令、家庭裁判所の運用、各専門職の判断を確認してください。

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相続、遺言、終活に関する手続きでは、戸籍、財産、関係者の状況を落ち着いて整理することが大切です。川崎市北部で家族の手続きについて確認したい方は、関連するご案内をご覧ください。

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