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第5-4回 申立人の確認

成年後見申立てで
誰が申立人になれるかを確認する実務マニュアル

本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長申立て、任意後見契約がある場合の確認まで。新人行政書士が相談対応・受任判断・関係機関連携を進めるための実務教材です。

対象:新人行政書士テーマ:成年後見申立支援ケーススタディ・チェックリスト・確認テスト収録
前提確認前回までに、法定後見制度は家庭裁判所への申立てで開始され、後見・保佐・補助の選択には本人の判断能力状態が重要であることを学習しました。本回では申立書作成ではなく、誰を申立人として進められるかを確認する初期判断に集中します。

1. この回の到達目標

  • 成年後見申立てにおける申立人の意味を説明できる。
  • 本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長など、申立人になれる人の範囲を確認できる。
  • 申立人候補に、申立ての趣旨・負担・後見人候補者との違いを説明できる。
  • 親族がいるが協力しない場合、無理に説得・紛争調整せず、記録化と関係機関連携に進められる。
  • 身寄りがない人・おひとりさま・親族関係が希薄な人について、地域包括支援センター、市区町村、高齢福祉担当部署、障害福祉担当部署等への相談導線を設計できる。
行政書士の職域行政書士は、家庭裁判所への申立代理および裁判所提出書類の作成を業務として行うことはできません。一方、申立て前段階の相談整理、事実関係の整理、親族関係の概括確認、関係機関への相談同行、情報提供資料の作成などは実務上支援し得る領域です。

2. この業務が必要になる実務場面

相談者が本人ではない場合

「母が認知症で施設入所契約ができない」「叔父の預金が凍結され、支払いができない」「内縁の夫の判断能力が落ちているが、自分は申立てできるのか」などの相談では、まず相談者が申立人になれるかを確認します。

本人を心配している人であっても、法律上の申立権者とは限りません。友人、近隣住民、内縁関係者、施設職員、ケアマネジャー、民生委員などは、重要な情報提供者にはなり得ますが、原則としてその人自身が親族申立ての申立人になれるとは限りません。

親族が複数いる場合

長男が申立てたいが長女が反対、甥が相談に来たが本人の子が疎遠ながら存在する、親族全員が関わりたくない、施設費の滞納があり施設側が早期申立てを求めている。このような場面では、申立権者の範囲、申立意思、親族間対立、利益相反を分けて整理します。

注意行政書士は親族間の対立を裁いたり、特定親族の主張を代弁して他の親族を説得したりしてはいけません。紛争性があれば弁護士へ連携します。

おひとりさま・おふたりさま案件

配偶者や子がいない、兄弟姉妹が死亡している、甥姪とは長年交流がない、戸籍上の親族はいるが居所不明というケースでは、実質的に申立人が見つからないことがあります。この場合、市区町村長申立ての検討につなぎます。

高齢の兄弟姉妹だけの世帯、子のいない夫婦、内縁・事実婚・同性パートナー、友人同士の同居などでは、生活上の支援関係と法律上の申立権者を分けて整理します。

3. 基本知識

申立人とは何か

申立人とは、家庭裁判所に対して、成年後見・保佐・補助開始の審判を求める人です。申立人は手続を始める人であり、成年後見人・保佐人・補助人そのものではありません。誰を後見人等に選任するかは、最終的には家庭裁判所が判断します。

申立人になれる人の一覧

区分 可否 実務上の確認ポイント
本人 本人に申立意思を確認できるか。後見類型では判断能力低下が重く、実務上難しい場合がある。
配偶者 法律上の婚姻関係を確認。内縁・事実婚パートナーは配偶者としては扱わない。
四親等内の親族 戸籍で本人との関係を確認。子、親、兄弟姉妹、甥姪、いとこ等が問題になりやすい。
未成年後見人・未成年後見監督人 本人が未成年から成年に移行する特殊ケース等で確認。
保佐人・保佐監督人 既に保佐開始済みで、後見開始への類型変更等が問題となるケース。
補助人・補助監督人 既に補助開始済みで、保佐・後見への類型変更等が問題となるケース。
検察官 一般相談で中心になることは少ない。
市区町村長 老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法等に基づき、本人の福祉を図るため特に必要がある場合に検討。
任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人 個別確認 任意後見契約が登記されている場合、申立人として扱われる運用がある。ただし民法上の明文列挙とは区別し、個別事案ごとに家庭裁判所の運用確認が必要。

任意後見関係者の注意

任意後見人とは、任意後見監督人選任後にその地位に就く者です。任意後見契約を締結しただけの段階では、通常は任意後見受任者と整理します。任意後見契約が登記されている場合には、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人が申立人として扱われる運用がありますが、申立権の有無は個別事案ごとに家庭裁判所の運用を確認します。

四親等内の親族とは

成年後見申立てでいう四親等内の親族とは、民法第725条で定義される親族、すなわち六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族のうち、成年後見申立ての場面で問題となる四親等内の範囲です。姻族は法律上、三親等内までしか親族に該当しないため、四親等内の姻族まで申立権があると誤解してはいけません。

区分 親等 本人から見た具体例
血族 1親等 父母、子
血族 2親等 祖父母、孫、兄弟姉妹
血族 3親等 曾祖父母、曾孫、伯叔父母、甥・姪
血族 4親等 高祖父母、玄孫、いとこ、兄弟姉妹の孫
配偶者 なし 法律上の夫または妻
姻族 1親等 配偶者の父母、配偶者の子
姻族 2親等 配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹
姻族 3親等 配偶者の曾祖父母、配偶者の曾孫、配偶者の伯叔父母、配偶者の甥・姪

本人申立て・親族申立て・市区町村長申立ての違い

項目 本人申立て 親族申立て 市区町村長申立て
申立人 本人 配偶者・四親等内親族等 市区町村長
主な場面 本人に制度利用の意思がある 親族が本人保護のため動く 申立て可能な親族がいない、協力が得られない、虐待・放置等
確認中心 本人の理解・意思 親族関係、申立意思、利害関係 本人の福祉上の必要性、親族状況、関係機関情報
注意点 判断能力低下が重いと難しい 親族間対立・利益相反 行政書士が市区町村長の判断を代行しない

申立人と後見人候補者の違い

申立人は家庭裁判所に後見等開始を求める人です。後見人候補者は「この人を後見人にしてほしい」と希望する人です。両者は同じ場合も別の場合もありますが、候補者として希望しても家庭裁判所が別の専門職を選任することがあります。

4. 実務の進め方

図解1|申立人確認の初動マップ
1 本人の状況判断能力、生活場所、支払・契約・財産管理の支障を確認。
2 相談者との関係本人・配偶者・親族・支援者・施設職員など、法的立場と生活上の関与を分ける。
3 申立人候補本人、配偶者、四親等内親族、市区町村長申立ての可能性を整理。
4 意思確認申立意思、家庭裁判所対応への理解、後見人候補者希望、利益相反を確認。
5 連携判断非協力・身寄りなし・紛争性・虐待疑いがあれば包括、市区町村、司法書士、弁護士へ。

相談者と本人の関係を確認する

「ご本人から見てどのような関係ですか」「戸籍上の親族関係はありますか」「法律上の配偶者ですか、それとも内縁・事実婚ですか」「ご本人に子、兄弟、甥姪、いとこはいますか」「本人の通帳や印鑑を保管している方はいますか」などを確認します。

申立人候補を一覧化する

氏名 関係 申立権者該当性 関与状況 申立意思 注意点
山田花子 長女 該当 月1回訪問 あり 財産管理中
山田太郎 長男 該当 疎遠 不明 長女と不仲
佐藤一郎 該当可能性あり 連絡のみ なし 関与拒否
鈴木春子 近隣住民 原則該当しない 日常支援 申立希望 市区町村相談へ
田中一美 内縁配偶者 配偶者としては該当しない 同居・生活支援 申立希望 実質支援者として整理

本人申立て・親族申立て・市区町村長申立ての判断

本人申立てでは、本人が制度の意味、支援の必要性、後見人等が財産管理や契約に関与することを大まかに理解しているかを確認します。親族申立てでは、申立権者該当性、申立意思、家庭裁判所対応への理解、利益相反を確認します。親族がいない、非協力、連絡不能、虐待・経済的搾取の疑いがある場合は、市区町村長申立ての検討につなぎます。

5. 判断フロー

図解2|申立人確認フロー
① 後見等の必要性生活・医療・介護・住居・財産管理に支障があるか。
② 相談者は本人か本人なら本人申立ての意思・理解力を確認。本人でなければ関係を確認。
③ 法律上の配偶者・親族か該当するなら親族申立ての可否を確認。該当しなければ他の親族を探索。
④ 親族の有無・協力いるなら連絡先・協力意思を確認。いない、非協力、不明なら次へ。
⑤ 任意後見契約登記ありなら契約内容と受任者等の関与状況を確認。申立権の有無は個別判断。
⑥ 福祉上の必要性高ければ地域包括支援センター・市区町村へ相談。
⑦ 検討資料整理市区町村長申立ての検討資料として、本人状況・親族状況・緊急性を整理。

市区町村長申立てにつなぐ判断

親族がいない、全員非協力、連絡不能、親族が本人を支援できない、虐待・放置・経済的搾取の疑いがある、医療・介護・住居・財産管理に緊急支障がある、若年性認知症・知的障害・精神障害により手続支援が必要な場合は、市区町村長申立てを視野に入れて関係機関へつなぎます。

断定しない市区町村長申立てを行うかは、市区町村が本人の状況、親族状況、福祉上の必要性を踏まえて判断します。行政書士が「市区町村長申立てになる」と断定してはいけません。

6. 作成・確認する書類

申立人確認段階で作成する実務書類

申立人候補整理メモ

本人、相談者、候補者一覧、親族関係、連絡可否、申立意思、後見人候補者希望、利益相反、任意後見契約、市区町村長申立て検討を記録。

親族連絡記録

連絡日、方法、相手方、説明内容、回答、拒否理由、次の対応を記録。感情的表現は避けます。

本人意思確認メモ

面談日時、場所、同席者、本人発言、制度説明への反応、申立てへの賛否、誘導・圧力の有無を記録。

関係機関連携メモ

本人の居所、支援者、親族協力状況、緊急課題、財産・医療・介護・住居上の問題、連携先担当者を整理。

行政書士が作成できる書類・できない書類

作成し得る書類

  • 初回相談記録、ヒアリングシート
  • 申立人候補整理メモ、親族連絡記録
  • 本人意思確認メモ、関係機関連携メモ
  • 市区町村相談用の事実経過メモ
  • 内部整理用の家系図、財産・収支整理メモ

業務として作成できない書類

  • 法定後見・保佐・補助開始申立書
  • 家庭裁判所提出用の親族関係図
  • 家庭裁判所提出用の財産目録・収支予定表
  • 申立事情説明書、候補者事情説明書
  • 上申書、意見書、家庭裁判所への手続代理

7. 文例・記載例

申立人候補への説明

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。申立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族など、法律上認められた人に限られています。申立人とは家庭裁判所に手続開始を求める人であり、申立人になったからといって必ず後見人に選ばれるわけではありません。後見人を誰にするかは、最終的には家庭裁判所が本人の利益を考えて判断します。

親族が非協力の場合

ご親族がいる場合でも、その方が申立人になる意思を持たない場合、無理に申立人になってもらうことはできません。その場合は、どの親族に連絡をしたか、どのような回答だったか、本人の生活や財産管理にどのような支障が出ているかを整理します。申立てできる親族がいない、または協力が得られない場合には、地域包括支援センターや市区町村に相談し、市区町村長申立ての可能性を検討してもらうことがあります。

内縁配偶者・友人への説明

長年一緒に生活していた方や、本人を支えてきた友人であっても、法律上の申立人になれるとは限りません。ただし、本人の生活状況をよく知る重要な支援者であることに変わりはありません。申立人になれる親族がいるかを確認し、親族がいない、または協力が得られない場合には、地域包括支援センターや市区町村へ相談することが考えられます。

行政書士の業務範囲説明

当職が行うのは、成年後見制度利用に向けた情報整理、申立人候補の確認、関係資料の整理、関係機関への連携支援です。家庭裁判所への申立代理および家庭裁判所提出書類の作成は、行政書士業務として行うことはできません。裁判所提出書類の作成が必要な場合は司法書士へ、親族間で争いがある場合や法的交渉が必要な場合は弁護士へおつなぎします。

市区町村・包括への連携

本人について、成年後見制度の利用が必要と思われる状況があります。現時点で確認できた範囲では、本人には配偶者・子がおらず、甥が1名確認されていますが、遠方在住で長年交流がなく、申立人になる意思はないとの回答でした。本人は現在、施設入所契約、利用料支払い、預貯金管理に支障が出ており、本人単独での対応は困難と思われます。市区町村長申立ての要否を含め、福祉的支援の観点からご相談させてください。

8. 他士業・関係機関との連携

連携先 連携場面
司法書士 家庭裁判所提出書類、申立書、親族関係図、財産目録、収支予定表、申立事情説明書等の作成が必要な場合。
弁護士 親族間対立、使途不明金、横領・経済的虐待の疑い、不動産処分をめぐる対立、代理交渉が必要な場合。
地域包括支援センター 高齢者の生活支援、虐待・セルフネグレクト、親族非協力、市区町村長申立て検討、介護サービス調整。
市区町村 市区町村長申立て、生活保護、高齢福祉、障害福祉、介護保険、緊急保護、若年性認知症や障害者支援。
医療・介護関係者 診断名、判断能力、入院・入所経緯、支払滞納、親族関与、診断書・本人情報シート作成者候補の確認。
社会福祉士 生活課題が複雑、福祉制度利用、虐待・孤立、意思決定支援、介護・障害・生活保護制度との接続。

9. 新人が間違えやすいポイント

間違い 正しい対応
申立人になれば後見人になれると説明する 後見人を選ぶのは家庭裁判所。申立人と後見人候補者は別概念。
友人・内縁配偶者を当然に申立人と扱う 法律上の申立権者と実質支援者を分ける。
親族がいるだけで市区町村長申立ては無理と決めつける 親族非協力、連絡不能、虐待疑い等があれば検討につなぐ。
親族に申立てを強く迫る 制度説明、選択肢提示、記録化にとどめる。説得や責任追及はしない。
姻族を四親等まで含める 姻族は三親等内まで。配偶者側の四親等は原則として親族に含めない。
任意後見受任者を一律に申立人扱いする 登記の有無、関与状況、家庭裁判所運用を個別確認する。
行政書士の業務範囲を曖昧にする 裁判所提出書類作成・申立代理・親族交渉はできないと明確に説明。

10. トラブル予防策

業務範囲を最初に説明する

行政書士が行うのは、相談整理、申立人候補確認、関係資料の整理、関係機関連携です。家庭裁判所への申立代理と裁判所提出書類の作成はできません。裁判所提出書類は司法書士、紛争性や交渉は弁護士へつなぎます。

受任できる業務・できない業務を契約書に明記する

望ましい業務名

  • 成年後見制度利用に関する相談整理業務
  • 申立人候補確認業務
  • 親族関係・支援状況整理業務
  • 地域包括支援センター・市区町村相談同行業務
  • 司法書士・弁護士連携用資料作成業務

避けるべき業務名

  • 成年後見申立書作成業務
  • 家庭裁判所申立代行業務
  • 後見申立代理業務
  • 裁判所提出用財産目録作成業務
  • 親族交渉代行業務

親族対応は連絡補助に限定する

親族に対する連絡補助は、本人との関係、連絡先、申立てに協力する意思の有無など、事実確認・意向確認の範囲に限ります。申立てをするよう説得したり、親族間の意見対立について一方の立場で交渉したりしてはいけません。

11. ケーススタディ:遠方の甥はいるが関与を拒否

本人Aさんは82歳、独身、子なし。両親・兄弟姉妹は全員死亡。自宅で一人暮らしをしていたが認知症が進行し、現在は介護老人保健施設に入所している。施設利用料の支払い、預貯金管理、今後の特別養護老人ホーム申込みに支障がある。戸籍上、甥Bさんが1名いるが、北海道在住で30年以上交流がなく「申立人にも後見人にもなるつもりはない」と回答した。

確認すべきこと

  • 本人の判断能力、医師の診断見込み、本人申立ての可否、施設費滞納、預貯金管理の支障、今後必要な契約手続。
  • 甥Bが四親等内親族に該当するか、他の親族の有無、Bの申立意思、拒否理由、本人財産への関与。
  • 地域包括支援センター、市区町村高齢福祉課、施設相談員、ケアマネジャー、医療機関等の関与。

判断と対応

甥Bは申立人になれる可能性がありますが、遠方在住で長年交流がなく、申立人になる意思を明確に拒否しています。行政書士がBに申立てを強く求めるのは適切ではありません。Bへの連絡結果を記録し、本人の生活上・財産上の支障を整理し、他の親族や本人申立ての可能性を確認したうえで、地域包括支援センターおよび市区町村へ市区町村長申立ての検討を相談します。

記録例

本人Aには配偶者・子なし。両親・兄弟姉妹は死亡。戸籍上、甥Bが確認された。2026年6月3日、Bへ電話連絡。Bは北海道在住で、本人Aとは30年以上交流がなく、本人の生活状況・財産状況を把握していないとのこと。成年後見申立ての概要、申立人と後見人候補者の違い、申立人となった場合の家庭裁判所対応について説明したが、Bは「関与できない。申立人にも後見人にもなる意思はない」と回答。本人Aは施設利用料支払い、預貯金管理、今後の施設契約手続に支障があるため、地域包括支援センターおよび市高齢福祉課へ市区町村長申立ての検討を相談する方針。行政書士として家庭裁判所提出書類の作成および申立代理は行わず、必要に応じて司法書士・弁護士へ連携する。

12. 実務チェックリスト

初回相談

  • 本人の氏名・住所・生年月日・居所を確認
  • 相談者と本人の関係を確認
  • 本人申立ての可能性を検討
  • 配偶者・子・親・兄弟姉妹・甥姪・いとこの有無を確認
  • 実質支援者を申立人と誤認していない
  • 行政書士の業務範囲を説明

申立人候補

  • 親族関係と申立権者該当性を確認
  • 申立意思を確認
  • 家庭裁判所対応への理解を確認
  • 後見人候補者希望を確認
  • 利益相反、金銭貸借、贈与、通帳保管を確認
  • 虐待・経済的虐待の疑いを確認

親族非協力

  • 連絡日時・方法・回答を記録
  • 拒否理由を記録
  • 他の親族を確認
  • 市区町村長申立ての必要性を検討
  • 親族に申立てを強制していない
  • 紛争性があれば弁護士へ連携

任意後見・職域

  • 任意後見契約の有無・登記を確認
  • 任意後見人と受任者を区別
  • 家庭裁判所運用確認の必要性を記録
  • 裁判所提出書類を作成しない
  • 申立代理を受任しない
  • 親族への連絡補助は事実確認・意向確認に限定

13. 確認テスト

問1

成年後見申立てにおける申立人とは何か。

家庭裁判所に対して、成年後見・保佐・補助開始の審判を求める人。申立人は手続を開始する人であり、必ずしも後見人に選ばれる人ではない。
問2

本人の友人が長年本人を支援している場合、この友人は当然に申立人になれるか。

当然にはなれない。友人は重要な支援者・情報提供者になり得るが、申立人になれるかは別問題である。
問3

申立人と後見人候補者の違いは何か。

申立人は後見等開始を求める人。後見人候補者は後見人として選任してほしい人。後見人を誰にするかは家庭裁判所が判断する。
問4

遠方の甥が申立人になることを拒否した場合、行政書士は何をするか。

申立てを強制せず、連絡結果と拒否理由を記録。他の候補や本人申立てを確認し、困難なら包括・市区町村へ相談する。
問5

親族申立てで確認すべきリスクを3つ挙げよ。

使途不明金、親族間対立、利益相反。その他、虐待、経済的虐待、不動産処分を急ぐ事情、本人の拒否など。
問6

姻族は何親等までが問題になるか。

三親等内まで。親族とは六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族をいうため、姻族は四親等まで含まれない。
問7

任意後見受任者は常に申立人になれるか。

常に扱えるわけではない。登記済み任意後見契約がある場合に申立人として扱われる運用があるが、個別事案ごとに家庭裁判所の運用確認が必要。
問8

行政書士ができない業務を2つ挙げよ。

家庭裁判所への申立代理、家庭裁判所提出書類の作成。親族間対立で一方の代理人として説得・交渉することもできない。
問9

市区町村長申立ては65歳以上に限られるか。

限られない。知的障害者、精神障害者、65歳未満の若年性認知症の人などについても問題になる。
問10

内縁配偶者が本人を長年支えている場合、どう整理するか。

法律上の配偶者とは異なるため当然に申立人になれるとは限らない。ただし重要な実質支援者・情報提供者として整理する。

14. 次回への接続

今回の結論成年後見申立支援の初動では、「誰が困っているか」だけでなく、「誰が申立人になれるか」「その人に申立意思があるか」「申立人がいない場合にどの機関へつなぐか」を、行政書士の職域を守りながら記録に残して確認します。

次回5-5「本人情報の整理」では、申立人候補が見えてきた後に、本人の生活状況、判断能力、医療・介護状況、支援課題をどのように整理するかを扱います。5-6では医師の診断書・本人情報シート、5-7では財産資料の収集、5-9では親族関係資料、5-10では後見人候補者、5-14では市区町村長申立てが必要なケースを扱います。

行政書士実務マニュアル|成年後見申立支援業務 5-4 申立人の確認

本記事は教育・研修目的で作成されています。個別案件では必ず最新法令、家庭裁判所の運用、専門職の判断を確認してください。

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