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認知症への備え|HANAWA 行政書士事務所

認知症になる前にできる手続き
任意後見・財産管理・見守り契約の違い

3つの契約は役割も開始時期も異なります。
元気なうちに違いを整理しておくことが、将来の安心につながります。

認知症になる前に、どのような手続きを準備しておけばよいのか不安に感じる方は少なくありません。見守り契約・財産管理等委任契約・任意後見契約は、それぞれ役割も開始時期も異なります。元気なうちに違いを整理しておくことで、将来の生活や財産管理に備えやすくなります。

  • 認知症になる前に準備できる主な手続き
  • 判断能力が低下すると困りやすい手続き
  • 見守り・財産管理等委任・任意後見の違い
  • 死後事務委任契約や遺言とあわせて考える理由
  • おひとりさま・おふたりさま・子世代が整理すべきこと
  • よくあるつまずきと相談の流れ
 
備えで変わる3つの安心

認知症になる前に準備できる手続きで変わる3つの安心

✍️

自分で内容を決められる

判断能力があるうちだけ、契約内容を本人の意思で整理できる

💰

希望に沿った財産管理

将来の財産管理・生活支援を自分の希望で設計できる

🤝

支援者を先に決められる

親族に頼れない場合でも、相談先・支援者を選んでおける

判断能力があるうちだから契約内容を自分で決められる

任意後見契約や財産管理等委任契約は、誰に何を任せるのかを本人が理解し、納得したうえで結ぶことが前提です。反対に、判断能力が大きく低下した後では、新たな契約を結ぶことが難しくなる場合があります。「まだ早い」と考えるより、元気なうちに選択肢を確認しておくことが大切です。

将来の財産管理や生活支援を希望に沿って整理できる

財産管理等委任契約は本人に判断能力があるうちから利用でき、任意後見契約は将来判断能力が不十分になった後に備える契約です。本人の判断能力が大きく低下した後は、財産管理等委任契約に基づく手続きを金融機関などから受け付けてもらえなくなる場合があります。そのため、判断能力がある時期を財産管理等委任契約で支え、その後は任意後見へ移行できるよう、「移行型」の設計を検討することが実務上重要です。

親族に頼れない場合でも相談先や支援者を決めておける

おひとりさまや子どものいないご夫婦の場合、親族に頼れない・遠方に住んでいる・負担をかけたくないという事情もあります。見守り契約や財産管理等委任契約、任意後見契約を通じて、あらかじめ相談先や支援者を決めておく方法があります。制度や契約を早めに確認しておけば、親族に頼りにくい場合でも将来の備えを進めやすくなります。

 
判断能力が低下すると困りやすいこと

判断能力が低下すると困りやすい5つの手続き

判断能力が低下すると、日常生活の小さな手続きだけでなく、財産管理や契約手続きにも支障が出ることがあります。どのような場面で困りやすいのかを知ることで、今準備すべき内容が見えやすくなります。

困りやすい場面 具体的な問題 元気なうちの備え
💳 預貯金の管理 引き出し・振込・通帳管理が難しくなる。家族でも正式な代理権がなければ対応を制限される場合がある 財産管理等委任契約で任せる範囲を決める
🏥 介護・施設の契約 申込み・契約・支払いなど多くの手続きで、内容理解が難しくなる 任意後見契約で代理権の範囲を設定する
💡 公共料金・医療費 支払い忘れ・重複払い・滞納が起きやすくなる 見守り契約+財産管理等委任契約で支援
🏠 不動産・相続手続き 本人の意思確認が必要な手続きが進まなくなる 遺言・任意後見の必要性を早めに確認する
👥 頼む相手がいない 子どもがいない夫婦・おひとりさまは手続きを頼む相手が不明確になりやすい 3つの契約を段階ごとに組み合わせて準備する
 
3つの契約の違い

見守り契約・財産管理等委任契約・任意後見契約の違いを整理

3つの契約は同じ目的では使えません。開始時期とできることを分けて考えることが大切です。

判断能力の段階ごとの役割分担(時系列)

今から使える 見守り契約

定期的な連絡・面談で生活状況・判断能力の変化を確認。任意後見発効のきっかけにもなる。

今から使える 財産管理等委任契約

判断能力があるうちから支払い・通帳管理を委任。体力低下・外出困難時に有効。判断能力低下後は金融機関対応に限界が出ることがある。

将来に備える 任意後見契約(効力発生前)

今のうちに公正証書で契約を締結。判断能力が低下するまで効力は生じない。

判断能力低下後 任意後見契約(効力発生)

家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから開始。契約で定めた代理権の範囲内で財産管理・生活面の手続きを支援。

契約 主な目的 開始時期 注意点
見守り契約 生活状況・判断能力の変化を確認する 判断能力があるうち 法定制度ではなく任意契約。財産管理・代理は対象外
財産管理等委任契約 支払い・通帳管理などを任せる 判断能力があるうち 判断能力低下後は金融機関対応・意思確認に限界が出る場合がある
任意後見契約 判断能力低下後の財産管理・生活面手続きを支援 任意後見監督人選任後 契約だけでは効力が生じない。代理権は契約で定めた範囲に限られる

任意後見契約の重要な仕組みと費用

任意後見契約は、本人の判断能力が十分なうちに公正証書で締結します。契約締結後も、判断能力が低下して家庭裁判所が任意後見監督人を選任するまでは効力が生じません。任意後見人の権限は、契約で定めた代理権の範囲に限られるため、代理権目録に含まれていない事項は当然には行えません。また、任意後見が開始されると、任意後見監督人への報酬が継続的に発生する点も事前に確認しておきましょう。

任意後見だけでは対応できないことがある

任意後見人の役割は、財産管理や生活に関する契約手続きなどが中心です。日常的な介護や家事、手術の承諾・延命治療の選択といった医療行為への同意は、本人の生命・身体に関わる一身専属的な判断とされており、任意後見契約によって包括的に付与することは難しいと一般に考えられています。入院や手術の可能性に備える場合は、医療機関の運用を事前に確認し、医療に関する事前指示書など別の対策も検討しておく必要があります。

⚠️ 移行型設計が実務上重要な理由

判断能力があるうちは財産管理等委任契約で支援し、低下後は任意後見へ移行する「移行型」の設計により、支援の空白を減らせます。任意後見だけを準備しても、元気なうちの財産管理や見守りには別の契約が必要です。

 
死後事務・遺言との関係

認知症への備えと一緒に考えたい死後事務・遺言の3つの関係

🤝 生前の支援(任意後見・財産管理)
  • 見守り・財産管理・任意後見でカバー
  • 生きている間の手続き・生活支援が対象
  • 医療同意・身元保証は別途確認が必要
📋 死後の実務(死後事務委任契約)
  • 葬儀・納骨・役所届出・解約・家財整理
  • 任意後見では死後の手続きはカバーされない
  • 遺産分割・相続手続きは対象外
📝 財産の承継(遺言)
  • 誰に財産を引き継ぐかを指定
  • 生前の見守り・財産管理は対象外
  • 子どもがいない夫婦は特に重要

生前の支援と死後の手続きは分けて整理する

「任意後見契約を結べば亡くなった後もすべて任せられる」と誤解してしまうことがありますが、任意後見は基本的に本人が生きている間の支援を想定した制度です。葬儀・納骨・行政手続き・家財整理などの死後事務は、死後事務委任契約で別途整理する必要があります。死後事務委任契約は、遺産分割など相続人の権利に関わる手続きとは役割が異なり、葬儀や各種解約・行政手続きなどの事務処理を中心に設計されます。

医療同意や身元保証と混同しないことが大切

任意後見人は財産管理や契約手続きの支援を行う立場ですが、手術の承諾や延命治療の選択といった医療行為への同意権が法律上包括的に認められているわけではありません。また、施設入所時に求められる身元保証や緊急連絡先についても、任意後見契約だけで対応できるとは限りません。施設や医療機関ごとに求められる内容が異なるため、事前に確認しておく必要があります。「財産管理」「契約手続き」「医療同意」「身元保証」「死後事務」は分けて考えることが重要です。

 
相談前に整理しておきたいこと

おひとりさま・おふたりさまが相談前に整理したい4つのこと

最初から契約名を選ぶ必要はありません。まずは家族関係・生活上の不安・財産管理・死後の手続きを整理することで、必要な準備が見えやすくなります。

整理すること 確認の視点
① 頼れる親族の有無 実際に誰が何を担えるか。遠方・高齢・関係性の問題も含めて整理する
② 不安な手続きを書き出す 通帳管理・支払い・施設入所・入院時の連絡先など具体的に列挙する
③ 任せたい内容と相手を考える 誰に何を任せたいか。代理してもらう内容を具体的に考えておく
④ 死後・遺言まで考えるか確認する 葬儀・納骨・財産承継まで含めて整理すると抜け漏れが減る
 
親の判断能力が心配な子世代へ

親の判断能力が心配な子世代が確認したい3つのポイント

① 本人がまだ契約内容を理解して判断できる状態か確認する

任意後見契約や財産管理等委任契約は本人の意思に基づいて結ぶ契約です。誰に何を任せるのか、どのような効果があるのかを本人が理解できるかどうかが重要です。判断能力に不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、現在どのような手続きが可能か確認しましょう。状況によっては、任意後見ではなく法定後見制度を検討する場面もあります。

② 親の希望を聞かずに手続きを進めないことが大切

親の将来が心配でも、子どもだけの判断で手続きを進めないことが大切です。どこで暮らしたいか、誰に財産管理を任せたいか、施設入所についてどう考えているかは、本人によって異なります。親が話せるうちに、生活・財産・介護・死後の手続きについて少しずつ確認しておくことが重要です。専門家を交えて整理すると、家族だけで話すより進めやすくなります。

③ 家族だけで抱え込まず早めに専門家へ相談する

任意後見契約を結べる状態なのか、財産管理等委任契約で対応できるのか、すでに法定後見を検討すべき段階なのかは、状況によって異なります。制度や契約の違いを正確に理解しないまま進めると、必要な手続きができなかったり、後から家族間で意見が分かれたりすることがあります。早めの相談が、本人の意思を反映するためにも重要です。

 
よくあるつまずき

認知症になる前の備えでよくある5つのつまずき

よくある誤解 正しい理解
任意後見を結べばすぐに財産管理を任せられる 任意後見は判断能力低下後、任意後見監督人が選任されてから効力が生じる。今すぐ支援が必要なら財産管理等委任契約が必要
見守り契約だけで財産管理まで対応できる 見守り契約は生活確認が目的。財産管理・代理手続きには別の契約が必要
財産管理等委任契約と任意後見は同じ時期に使う 財産管理等委任契約は判断能力がある時期、任意後見は低下後に使う。開始時期が異なる
任意後見で医療同意・介護代行もできる 手術承諾・延命治療選択など医療行為への同意は一身専属的な判断であり、任意後見で包括的に付与することは難しい
すべての契約を一度に決めようとして止まってしまう 「今困っていること」と「将来不安なこと」を分けて、優先順位をつけて進めると整理しやすい
 
相談から契約準備までの流れ

相談から契約準備までの4ステップ

認知症への備えは、いきなり契約を決めるのではなく、相談→状況整理→契約の選定→手続き準備という流れで進めると安心です。

1

電話または無料相談フォームから問い合わせる

2

生活状況・家族関係・不安な手続きを整理する

3

必要な契約の種類と優先順位を確認する

4

公正証書や関連手続きの準備を進める

STEP 1|まずは問い合わせる

相談時点で、契約名や制度の違いを正確に理解している必要はありません。「通帳管理が不安」「親族に頼れない」「親の判断能力が心配」「死後の手続きも気になる」といった状況を伝えるだけでも、必要な確認につながります。

STEP 2|状況を整理する

一人暮らしか、配偶者と二人暮らしか、近くに頼れる親族がいるかによって、必要な支援の内容が変わります。通帳管理・支払い・施設入所・死後事務など、どの手続きに不安があるかを整理します。状況を分けることで、今すぐ必要な支援と将来に向けた備えを明確にできます。

STEP 3|契約の種類と優先順位を確認する

定期的な安否確認が必要なら見守り契約、支払い管理に不安があれば財産管理等委任契約、将来の判断能力低下に備えるなら任意後見契約を検討します。特に、財産管理等委任契約と任意後見契約は判断能力がある時期と低下後をつなぐために、セットで検討する価値があります。

STEP 4|公正証書・関連手続きを準備する

任意後見契約は、本人が十分な判断能力を持っているうちに公証人の関与のもとで公正証書として作成します。契約時の費用だけでなく、将来の任意後見監督人への報酬など継続的な費用負担も含めて検討しておくことが大切です。不明点を残したまま契約しないよう、専門家に確認しながら準備を進めると安心です。

HANAWAでは、見守り契約・財産管理等委任契約・任意後見契約の違いを状況に合わせて整理し、死後事務委任契約や遺言との組み合わせについても一緒に確認できます。川崎市北部を中心に、地域の身近な相談窓口として対応しています。

 
よくある質問

認知症になる前の手続きでよくある質問

認知症になる前にできる手続きは何ですか?
主な手続きには、見守り契約、財産管理等委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、遺言などがあります。見守り契約は定期的な連絡で生活状況を確認する契約、財産管理等委任契約は判断能力があるうちから支払い管理や通帳管理を任せる契約、任意後見契約は将来判断能力が低下した後に備える契約です。それぞれ役割と開始時期が異なるため、本人の生活状況や不安に合わせて組み合わせを検討します。
任意後見と財産管理等委任契約は何が違いますか?
大きな違いは使われる時期です。財産管理等委任契約は本人に判断能力があるうちから財産管理や支払い手続きを任せる契約です。一方、任意後見契約は将来判断能力が不十分になった後に備える契約であり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が始まります。判断能力が大きく低下した後は、財産管理等委任契約に基づく手続きを金融機関が受け付けない場合があります。そのため、両契約をセットで「移行型」として設計することが実務上重要です。
見守り契約だけで十分ですか?
定期的に生活状況を確認してほしい、判断能力の変化に早く気づいてほしいという目的であれば、見守り契約は有効です。ただし、見守り契約は法律で定められた制度ではなく当事者間の任意契約です。通帳管理や支払いを任せたい場合は財産管理等委任契約、将来の判断能力低下後の支援には任意後見契約が必要です。見守り契約は入口として有効ですが、必要に応じてほかの契約と組み合わせることが大切です。
死後事務も一緒に相談できますか?
死後事務も一緒に相談できます。死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀・納骨・行政手続き・公共料金の解約・家財整理などを任せるための契約です。任意後見契約とは目的が異なります。また、財産の承継先を決めたい場合は遺言とあわせて考える必要があります。特にお一人暮らしや子どものいないご夫婦は、死後の手続きまで含めて整理することで将来の不安を整理しやすくなります。
親が認知症かもしれない場合でも契約できますか?
契約内容を本人が理解し、自分の意思で判断できる状態であれば契約は可能です。ただし、誰に何を任せるのか・どのような効果があるのかを理解できるかが重要です。すでに判断能力が大きく低下している場合は、任意後見契約ではなく法定後見制度を検討する場面もあります。親の状態が心配な場合は、早めに専門家へ相談し、現在取れる手続きを確認することが大切です。
 
まとめ

認知症への備えは元気なうちの契約整理から始められる

認知症への備えは、特別な人だけが行うものではありません。将来の生活や財産管理に不安がある方にとって、元気なうちに契約の役割を整理することが、安心して暮らすための第一歩になります。

  • 認知症になる前であれば、本人の意思に基づいて契約内容を決めやすくなる
  • 見守り・財産管理等委任・任意後見は、それぞれ役割と開始時期が異なる
  • 財産管理等委任契約は判断能力低下後の金融機関対応を踏まえ、任意後見との「移行型」設計が実務上重要
  • 任意後見だけで、元気なうちの財産管理・医療同意・死後の手続きまで全て対応できるわけではない
  • おひとりさまや子どものいないご夫婦は、見守り・財産管理・任意後見・死後事務・遺言を役割ごとに整理すると備えやすくなる
 

認知症への備えは、元気なうちに
制度と契約の役割を整理することから始められます。

通帳管理が不安な方、施設入所の手続きを誰に頼めばよいか悩んでいる方、
親族に頼れない将来が心配な方も、現在の状況を整理するところから始められます。
「何を相談すればよいか分からない」という段階でも問題ありません。

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