HANAWA行政書士事務所のロゴ HANAWA行政書士事務所 建設・製造・産廃業向け 許認可 × 外国人雇用 × 補助金 × 福利厚生
090-3718-2803 9:00-23:00 年中無休(土日祝日・20時以降は事前予約)
農地法 実務ガイド|許可・届出の基礎知識
農地法 完全解説

農地法3条・4条・5条の違い
まずここで迷わないための整理

【免責事項】本記事は一般的な整理であり、最終的な許可・届出の要否や許可可否は、土地の所在地、農地区分、農振区域の該当性、周辺状況、事業計画、所管行政庁の判断によって異なります。また、「手続きが必要かどうか」と「実際に許可が出るかどうか」は別の問題であり、個別具体的な判断が必要となります。

農地法3条・4条・5条の違いは
「誰が・何をするか」で決まる3つのルール

この章のポイント
  • 農地法3条は「農地のまま使う人が変わる」ケースの許可
  • 農地法4条は「所有者が自分で農地を転用する」ケースの許可
  • 農地法5条は「売買や賃貸を伴って転用する」ケースの許可
  • 3条・4条・5条の違いは「転用の有無」×「権利移動の有無」の2軸で整理できる

農地を売りたい、買いたい、駐車場や住宅用地にしたいと考えたとき、「どの許可が必要なのか分からない」と悩む方は少なくありません。農地法の手続きは、「農地のまま利用するのか」「農地以外に転用するのか」「権利移動や設定があるのか」で整理できます。市街化区域内の農地については、4条・5条は農業委員会への届出で足りるのが原則です。この違いを理解することで、手続きの全体像を把握しやすくなります。

📊 農地法 3条・4条・5条 ― 2軸分類図
 
権利移動・設定 なし
権利移動・設定 あり
転 用 な し

該当なし
(許可不要)
3条 農地のまま
権利を移転・設定
農委会の許可
転 用 あ り
4条 所有者自身が
転用する
許可 or 届出※
5条 売買等を伴って
転用する
許可 or 届出※

※市街化区域内の農地は農業委員会への届出で足りるのが原則

図1:「転用の有無」と「権利移動・設定の有無」で3条・4条・5条を分類

農地法3条は「農地のまま使う人が変わる」ケースの許可

農地法3条は、農地のまま利用する目的で、所有権・賃借権・使用貸借権などの権利を設定・移転する場合の許可です。単に売買だけでなく、借りて農業を行う場合も対象になります。

例えば、農業に供する目的での売買、賃貸借、使用貸借などが該当します。取得者については、営農意思・農業経営能力等が確認されます。これは、農地が適切に利用されることを確保するためです。

このように、農地法3条は「農地のまま利用するための権利の設定・移転」を対象とする制度と理解すると正確です。

農地法4条は「所有者が自分で農地を転用する」ケースの許可

農地法4条は、農地の所有者が自ら農地を転用する場合の手続きです。例えば、自分の農地を駐車場や住宅用地にするケースが該当します。

この場合、所有権の移動は伴わず、用途のみが変更されます。市街化区域外では許可が必要ですが、市街化区域内の農地については、農業委員会への届出で足りるのが原則です。

📌 整理のポイント:「転用あり・権利移動なし」という2軸で理解できます。

農地法5条は「売買や賃貸を伴って転用する」ケースの許可

農地法5条は、所有権移転、賃借権設定、使用貸借権設定などを伴って転用する場合の手続きです。例えば、農地を購入して住宅を建てる、借りて駐車場として利用するケースなどが該当します。

この場合、転用と権利移動・設定の両方が審査対象となります。また、実務上は譲渡人と譲受人が共同で申請を行います。市街化区域内の農地については、4条と同様に届出で足りるのが原則です。

📌 整理のポイント:「転用あり・権利移動あり」の場合に該当します。

3条

農地のまま利用・権利移転

  • 農地として売買・賃貸借・使用貸借
  • 転用なし、権利移動あり
  • 取得者の営農意思・能力が審査
  • 農業委員会の許可が必要
4条

所有者が自ら転用

  • 自分の農地を駐車場・住宅地に
  • 転用あり、権利移動なし
  • 市街化区域外:許可が必要
  • 市街化区域内:届出で原則OK
5条

売買等を伴って転用

  • 農地を取得して住宅・駐車場に
  • 転用あり、権利移動あり
  • 譲渡人・譲受人が共同申請
  • 市街化区域内:届出で原則OK

3条・4条・5条の違いを一目で理解する比較表

区分 農地転用 権利移動・設定 主な主体 市街化区域での扱い
3条 なし あり 譲受人・借受人等 整理対象外
4条 あり なし 所有者自身 届出で足りるのが原則
5条 あり あり 譲渡人・譲受人の共同 届出で足りるのが原則

※市街化区域内の農地については、4条・5条は農業委員会への届出で足りるのが原則です。

よくある利用シーン別に見る
農地法の許可判断3パターン

この章のポイント
  • 農地を売買する場合は3条か5条かどちらになるかを理解する
  • 駐車場にする場合は4条か5条かの判断基準を押さえる
  • 家を建てる場合に必要な許可の考え方を確認する
  • 「とりあえず転用」はNG?誤解しやすいケースを整理する

実務では、条文から考えるよりも「何をしたいか」から整理する方が分かりやすくなります。代表的な利用ケースごとに考えることで、必要な手続きの判断がしやすくなります。

農地を売買する場合は3条か5条かどちらになるか

農地の売買では、取得後も農地として利用するかどうかで判断が分かれます。農業に供する目的で取得する場合は3条、転用する目的で取得する場合は5条です。

🌾
農業を行うために農地を取得する
引き続き農地として使うため、転用なし・権利移動あり。取得者について営農意思・農業経営能力等が確認されます。
→ 3条 許可
🏠
住宅や駐車場として利用するために農地を取得する
転用目的での取得のため、転用あり・権利移動ありに該当します。売買の有無だけでなく、その後の利用目的まで含めて判断することが重要です。
→ 5条 許可/届出

駐車場にする場合は4条か5条かの判断基準

農地を駐車場にする場合は、所有者が自ら転用するのか、第三者が関与するのかで判断します。

🅿️
自宅の隣の農地を自分で駐車場にする
所有者自身が転用。権利移動は伴わない。市街化区域内の農地については届出で足りるのが原則。
→ 4条 許可/届出
🏢
企業が農地を借りて駐車場として利用する
権利設定(賃借権等)を伴う転用となるため、転用あり・権利移動あり。
→ 5条 許可/届出

家を建てる場合に必要な許可の考え方

農地に住宅を建てる場合は、農地を宅地に転用する必要があります。

🔨
自分の農地に住宅を建てる
所有者が自ら転用。権利移動は伴わない。
→ 4条 許可/届出
🏡
農地を取得して住宅を建てる
単なる売買ではなく転用を伴うため、5条の手続きが必要。市街化区域外では許可が必要となるのが原則であり、農地の区分によっては許可が難しい場合もあります。売買契約前に転用の見込みを確認することが重要です。
→ 5条 許可/届出

「とりあえず転用」はNG?誤解しやすいケースの整理

⚠️ 注意:「農地として取得→後で転用」は認められない

「とりあえず農地として取得し、その後に転用する」という考え方は適切ではありません。農地の取得は3条許可の対象であり、転用目的での取得は3条許可が認められないのが原則です。農地の取得は、具体的な利用計画を前提に判断され、投機目的・資産保有目的では認められないのが原則です。そのため、転用を予定している場合は、最初から5条の手続きとして整理する必要があります。最初の段階で利用目的を明確にすることが、適切な手続き選択につながります。

許可が必要か迷わないための
判断ステップ3つの流れ

この章のポイント
  • ステップ1:農地のまま使うか転用するかを決める
  • ステップ2:権利が移動するかどうかを確認する
  • ステップ3:最終的に該当する条文を当てはめる
  • 判断に迷う場合に確認すべきチェックリスト

許可の判断は複雑に見えますが、順序立てて整理することで対応できます。用途、権利関係、区域区分の順に確認することが実務上有効です。

1
 
農地のまま使うか、転用するかを決める
まず、農地として利用するのか、それとも農地以外に転用するのかを確認します。
・農地として利用する場合 → 3条の検討へ
・転用する場合 → 4条 or 5条の検討へ(次ステップへ)

例)農業を行うために借りる → 農地のまま → 3条。同じ「借りる」でも駐車場として使うなら転用 → 次へ進む。
2
 
権利が移動するかどうかを確認する
転用する場合に進んだら、所有権移転・賃借権設定・使用貸借権設定などがあるかを確認します。
・権利移動・設定がない4条
・権利移動・設定がある5条

「誰がその土地を使うのか」を明確にすることがこのステップの核心です。
3
 
最終的に該当する条文を当てはめる
ここまでの整理をもとに条文を確定します。
・農地のまま利用 + 権利移動・設定あり → 3条 農委会許可
・転用 + 権利移動なし → 4条 許可 or 届出
・転用 + 権利移動・設定あり → 5条 許可 or 届出

なお、市街化区域内の農地では、4条・5条は届出で足りるのが原則です。区域区分の確認は実務上非常に重要です。

図2:農地法 条文選択 判断フロー(3ステップ)

判断に迷う場合に確認すべきチェックリスト

以下の項目を確認すると判断が整理しやすくなります。

  • 最終的な利用目的
  • 利用者(誰が使うか)
  • 権利移動・設定の有無
  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 用途地域の有無
  • 農振区域・農用地区域内農地かどうか
  • 農用地区域内農地、甲種農地、第1種・第2種・第3種農地の区分

これらを事前に整理することで、手続きの方向性が見えやすくなります。

農地転用・売買で失敗しないために
知っておくべき3つの注意点

この章のポイント
  • 無許可での転用・売買のリスクとペナルティ
  • 農地種別や立地によって許可の難易度が変わる
  • 開発許可との関係で注意すべきポイント

農地の手続きでは、条文理解だけでなく、リスクと実務条件の把握が重要です。

① 無許可での転用・売買のリスクとペナルティ

無許可で農地転用を行った場合、工事の中止命令、原状回復命令、罰則の対象となるおそれがあります。

⚠️ 具体的なペナルティ

3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科される可能性があります。事後対応では済まないケースが多いため、必ず事前に手続きを確認する必要があります。

② 農地種別や立地によって許可の難易度が変わる

農地は区分によって転用の可否が大きく異なります。

農地区分 転用の原則 主な理由
農用地区域内農地(青地) 原則 不可 農振法上の指定農地
甲種農地 原則 不可 農業生産力が特に高い
第1種農地 原則 不可 良好な農業環境を維持
第2種農地 条件次第で可 周辺条件等を考慮
第3種農地 比較的 可 市街地等の区域内

自分の土地がどの区分に該当するかを確認することが重要です。

③ 開発許可との関係で注意すべきポイント

農地転用は農地法だけで完結する手続きではありません。農振除外、都市計画法29条の開発許可、建築基準法上の制限も確認が必要です。特に、造成や建築を伴う場合は複数の法令が関係するため、全体を見て判断する必要があります。

📌 農地法の手続きはゴールではなく入口。農振除外・開発許可・建築確認など、他の法令手続きとセットで検討することが実務のポイントです。

行政書士に相談すべきタイミングがわかる
3つの判断基準

この章のポイント
  • 自分で判断できるケースと難しいケースの違い
  • 売買・建築が絡む場合は早期相談が重要な理由
  • 事前相談で確認しておくべきポイント

農地法の判断は一定の整理で可能ですが、最終的な許可可否は個別事情に依存します。早めの相談がリスク回避につながります。

① 自分で判断できるケースと難しいケースの違い

形式的な分類(3条・4条・5条のどれか)は自分で判断できる場合もありますが、許可可否は農地種別や周辺状況などに左右されます。最終判断は行政庁への確認が必要です。

② 売買・建築が絡む場合は早期相談が重要な理由

許可が前提となる取引では、事前確認を怠ると契約後に問題が生じる可能性があります。特に住宅建築では複数の法令確認が必要です。

③ 事前相談で確認しておくべきポイント

以下を整理しておくとスムーズです。

  • 土地情報(所在地・地番・地目・登記面積等)
  • 利用目的(何のために使うか)
  • 権利関係(売買・賃貸借・使用貸借など)
  • 区域区分(市街化区域か否か)
  • 農地区分(青地・甲種・第1種〜第3種)

📝 まとめ

  • 農地法3条は農地のまま利用するための権利設定・移転の許可です
  • 農地法4条は所有者が自ら転用する場合の許可または届出の手続きです
  • 農地法5条は権利移動・設定を伴って転用する場合の許可または届出の手続きです
  • 市街化区域では4条・5条は届出で足りるのが原則です
  • 許可可否は農地種別や法規制によって大きく左右されます

農地法の判断はシンプルなルールで整理できますが、実務では個別条件が重要です。迷った段階で早めに専門家へ相談することで、手戻りやリスクを防ぐことができます。

農地の転用・売買・許可申請でご不明な点は、行政書士などの専門家へのご相談をお勧めします。手続きの方向性を早期に確認することで、契約後のトラブルを防ぐことができます。

HANAWA行政書士事務所のホームページはコチラから

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを構成するものではありません。

前のページに戻る
フォーム 電話 LINE