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墓じまい・改葬許可申請支援業務 11-2

墓じまいが必要となるケースとは?
新人行政書士の判断フロー・相談実務

承継者不在、遠方管理、無縁墓化、寺院墓地、永代供養への移行などを整理し、墓じまいを急ぐ前に確認したい事項、代替案、受任判断、関係機関連携を実務順に解説します。

必要性判断本人・名義確認祭祀承継紛争予防

この回の到達目標

「墓じまいをしたい」という相談に対し、直ちに改葬許可申請や墓石撤去を案内するのではなく、必要性、緊急性、実行可能性、代替手段を整理します。

必要性を見極める

承継者、距離、費用、健康、無縁墓化の可能性を事実に基づいて整理します。

権限を確認する

本人、墓地使用名義人、祭祀承継者、依頼者を区別します。

急がない基準を持つ

名義、遺骨、移転先、本人意思、紛争性が未確認なら条件整理を先行します。

業務範囲を守る

書類作成と事実整理を中心に、交渉や紛争は弁護士へつなぎます。

前回の要点墓じまいは、既存墓の整理、改葬先の確保、改葬許可、墓石撤去、遺骨移動、納骨までを一連で考えます。本回は「本当に墓じまいが必要か」の判断に焦点を当てます。

この業務が必要になる実務場面

  • 子のいない夫婦が、自分たちの死後の墓管理を心配している。
  • 子や親族はいるが、墓を承継する意思が確認できていない。
  • 友人、知人、死後事務受任者等を祭祀承継者として指定することを検討している。
  • 墓地が遠方にあり、高齢や病気により墓参りが難しくなった。
  • 管理料、護持会費、交通費等の継続負担を整理したい。
  • 寺院墓地の檀家関係を次世代へ引き継ぐか検討している。
  • 永代供養墓、納骨堂、樹木葬等へ移したい。
  • 実家墓と婚家墓など複数の墓をまとめたい。
  • 墓地使用名義人が死亡したままである。
  • 墓地使用許可証や埋葬者の記録が見つからない。
  • 管理料の未納や墓地管理者からの通知がある。
  • 空き家、相続、家財整理と併せて墓を整理したい。

相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まず現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。

墓じまいが必要となるケース一覧

ケース 必要性が高まる事情 最初の確認
現実的な祭祀承継者が決まっていない 死後に管理、費用負担、墓地対応を行う人が未定 遺言等の指定者、慣習上の承継者、親族外の候補者、死後事務受任者
候補者に承継意思がない 遠方、宗教観、生活事情等から管理を望まない 候補者本人の意思
遠方管理が難しい 移動時間、交通費、身体的負担が大きい 管理代行、親族分担等の代替策
本人・親族が高齢 現地訪問や意思確認が今後難しくなる 健康、判断能力、支援者、緊急性
維持費を整理したい 管理料、護持会費、寄付、交通費等 継続負担、未納、契約内容
寺院・檀家関係を整理したい 宗旨、檀家負担、次世代の意向 墓地規則、契約、紛争性
永代供養等へ移りたい 承継者を前提としない供養を希望 受入条件、合祀時期、返還可否
複数墓をまとめたい 実家墓、婚家墓、分家墓等がある 各墓の名義人、遺骨、関係者
無縁墓化が心配 連絡先不明、管理者不在、名義未変更 届出情報、現名義人、承継候補者
生前に整理したい 意思能力があるうちに方針を決めたい 自由意思、説明方針、将来の納骨
名義人が死亡している 祖父・父名義のまま 名義変更・祭祀承継手続の要否
「子がいない=承継者不在」ではありません民法上の祭祀承継は通常の相続順位と同じではなく、被相続人の指定、慣習、家庭裁判所の判断により定まります。血族以外が指定されることもあるため、親族の有無だけで判断しません。

基本知識

墓じまいと改葬は同じではない

墓じまいは、遺骨の取出し、移転先・取扱方法の決定、行政手続、墓石撤去、原状回復、墓地返還、納骨等を含む実務上の総称です。墓埋法上の改葬は、埋葬した死体または埋蔵・収蔵した焼骨を、他の墳墓または納骨堂へ移すことです。

図解|移転方法と確認事項
別の墓・納骨堂原則として改葬許可を確認
永代供養・樹木葬施設が墓地・納骨堂に当たるか確認
手元供養・自宅保管改葬に当たらない取扱いがあり、自治体・墓地へ確認
散骨通常の改葬と異なるため、自治体・墓地・事業者の取扱いを確認
分骨分骨証明等、移転先が求める書類を確認
墓を維持管理代行、名義変更、承継者指定を検討
手元供養・散骨の注意移動先が他の墳墓または納骨堂でない場合、墓埋法上の改葬に当たらないとして改葬許可を交付しない自治体があります。一律に「許可が必要」「不要」と説明せず、現在の墓がある自治体、墓地管理者、受入事業者へ確認します。

川崎市の申請窓口

改葬許可は法律上市区町村長の権限です。川崎市では、現在遺骨が埋葬されている区を管轄する各区役所区民課が実務上の窓口です。最新の受付方法・必要書類は申請前に確認します。

必要性は三段階で考える

具体的対応を急ぐ

期限付き通知、長期未納、墓地廃止、災害、本人の急速な能力低下、受入期限等がある状態。

準備を始める

承継者未定、遠方管理の悪化、資料散逸、本人・関係者の高齢化が進む状態。

方針を整理する

代替策が利用できる、親族の意向が未確認、移転先が未定、名義変更が未了の状態。

承継者不在の実務上の意味

法定相続人がいないことではなく、墓地管理者との連絡、管理料、清掃・修繕、納骨、名義承継、将来の改葬判断を現実に担う人が決まっていない状態です。配偶者、子、兄弟姉妹、甥姪だけでなく、遺言等の指定者、親族外の候補者、死後事務受任者も確認します。ただし、死後事務受任者であることと祭祀承継者であることは同じではありません。

遠方管理は具体的に把握する

  • 片道時間、訪問回数、交通費、宿泊費
  • 歩行、階段、清掃、草取りの身体的負担
  • 墓石破損、災害、管理者連絡への対応
  • 管理料、法要、現地立会いの負担

管理サービス、墓参り代行、親族分担、墓の小型化、同一墓地内移転、分骨、一定期間の維持も比較します。

無縁墓化の可能性

  • 現使用者が高齢で、承継候補者が未定
  • 墓地への届出住所が古い、管理料支払者が一人
  • 許可証がなく、埋葬者を知る人が少ない
  • 名義人が死亡したまま、墓の所在地を親族が知らない
  • 死後事務を行う人がおらず、本人の判断能力が低下している

将来不安だけで墓じまいを決めず、連絡先変更、名義変更、管理代行、承継者指定、死後事務委任等を検討します。

本人の希望と親族感情を分ける

本人、配偶者、承継候補者、墓に思い入れのある関係者、費用負担者、手続担当者の意向を分けて記録します。法的同意の要否と、紛争予防のための説明は別の問題です。意見対立がある場合、行政書士が合意形成を仲介しません。

実務の進め方

図解|相談から必要性判断まで
  1. 情報収集、家族検討中、決定済み、紛争発生済みのどの段階か確認します。
  2. 相談者、依頼者、墓地使用者、埋葬者との関係を確認します。
  3. 本人の理解、自由意思、判断能力を確認し、発言を記録します。
  4. 現名義人と生死、名義変更・祭祀承継手続の要否を確認します。
  5. 人、距離、費用、契約、宗教、健康、将来、供養方法に原因を分けます。
  6. 管理代行、承継者指定、分骨等の代替案と墓じまいを比較します。
  7. 名義、遺骨、移転先、費用、説明方針、紛争性を確認して判断します。

相談目的を確認する文例

墓じまいを既に決めているのか、それとも、必要かどうかから検討したいのかを確認させてください。現在分かっている範囲から一緒に整理します。

本人確認と相談権限

  • 氏名、住所、生年月日、連絡先、本人確認書類
  • 墓地使用者・埋葬者との関係
  • 誰の意思で相談し、誰が依頼者となるか
  • 代理相談の場合の委任・了承
  • 複数関係者間の利益相反

意思能力・自由意思

  • 墓石撤去後は容易に元へ戻せないことを理解しているか。
  • 合祀後は遺骨を取り出せない場合があることを理解しているか。
  • 費用、親族への影響、移転先の条件を理解しているか。
  • 親族や事業者から急かされていないか。
  • 希望が一貫し、本人自身の言葉で説明できるか。

可能な限り本人だけと話す時間を設け、日時、場所、同席者、説明内容、本人の発言を記録します。

墓地使用名義を確認する

  1. 登録名義人は誰か。
  2. 名義人は存命か。
  3. 死亡している場合、名義変更・祭祀承継手続は完了しているか。
  4. 未了なら誰が手続を行い、何が必要か。
  5. 名義変更前に埋蔵証明、返還、撤去を受け付けるか。
実務上よくある場面祖父・父名義のままでは、墓地管理者が先に名義変更を求める場合があります。改葬申請だけを準備せず、墓地管理者の承継手続を確認します。

墓じまい以外の選択肢

  • 現在の墓を承継する、遺言等で承継者を指定する。
  • 墓地管理、清掃、墓参り代行を利用する。
  • 親族で管理・費用を分担する。
  • 墓を小型化、同一墓地内で移転する。
  • 一部を分骨し、近隣にも供養場所を設ける。
  • 一定期間維持した後に墓じまいする。
  • 現在の墓地内の永代供養制度を利用する。
  • 死後事務委任で将来の手続担当者を確保する。

判断結果

準備へ進む

本人意思、名義、遺骨、移転先、費用、紛争性を確認できた。

条件整理後に再判断

名義変更未了、候補者の意思不明、移転先・埋葬者・費用が未確認。

手続を進めない

本人意思を確認できない、権限がない、紛争性がある、遺骨の行き先がない。

ヒアリング項目

相談者・本人

  • 氏名、住所、生年月日、連絡先
  • 墓地使用者・埋葬者との関係
  • 相談者と依頼者
  • 判断能力、健康、同席者
  • 遺言、任意後見、死後事務委任
  • おひとりさま・おふたりさま

現在の墓

  • 名称、所在地、管理者、墓地種別
  • 使用名義人と生死
  • 名義変更・祭祀承継手続
  • 許可証、契約、使用規則
  • 管理料、未納、檀家関係
  • 埋葬者、納骨時期、墓石・墓誌

希望理由

  • 承継者、親族負担
  • 遠方、健康、費用
  • 寺院・檀家関係
  • 永代供養等への移行
  • 複数墓の整理
  • 無縁墓化、相続・空き家整理

承継者・関係者

  • 遺言等の指定者
  • 慣習上の承継者
  • 親族・親族外の候補者
  • 死後事務受任者
  • 候補者本人の意思
  • 規則上の条件、意見対立

改葬後の希望

  • 永代供養、納骨堂、樹木葬
  • 別の家墓、夫婦墓、合祀墓
  • 分骨、手元供養、自宅保管
  • 散骨、未定

費用

  • 負担者、予算上限
  • 管理料・未納
  • 名義変更、改葬先
  • 撤去、取出し、運搬、納骨
  • 行政手続、法要等

祭祀承継者・親族関係は第11-4回、改葬先の具体的選定は第11-7回で詳しく扱います。

墓じまいを検討すべきかの判断フロー

  1. 名義人は判明しているか。不明なら墓地管理者・資料で確認します。
  2. 名義人は存命か。死亡している場合は名義変更・祭祀承継手続を確認します。
  3. 現実的な承継者・管理担当者がいるか。遺言、慣習、親族外候補者も確認します。
  4. 維持する代替策があるか。管理代行、分担、分骨等と比較します。
  5. 遺骨の移転先・取扱方法が決まっているか。未定なら撤去を進めません。
  6. 本人の意思は明確か。不明または判断能力に疑問があれば保留します。
  7. 紛争性があるか。対立がある、または予見される場合は弁護士へ連携します。
判断の要点「必要性が比較的高い」と「直ちに工事へ進める」は別です。必要性を認めても、実行条件が整うまでは資料収集と確認を先行します。

作成・確認する書類

書類 主な内容
初回相談票 相談者、同席者、目的、理由、墓の概要、承継候補者、緊急性、次回作業
本人確認記録 資料、確認日、面談方法、代理相談の権限
意思確認記録 本人の言葉、理解内容、代替案、合祀の理解、圧力の有無
必要性検討表 現在の問題、将来予測、維持・墓じまいの負担、代替案、未確認事項
墓地使用名義確認表 現名義人、生死、承継手続、墓地管理者の回答
埋葬者一覧 氏名、続柄、死亡日、納骨時期、確認資料
関係者一覧 指定者、候補者、連絡先、承継意思、説明方針、紛争性
業務範囲判定記録 書類作成範囲、交渉の有無、弁護士連携の要否

確認する既存資料

  • 墓地使用許可証、永代使用許可証、使用契約書・規則
  • 名義変更・祭祀承継届、管理料請求書・領収書、管理者通知
  • 埋葬・納骨記録、墓石・墓誌写真、戸籍・除籍等
  • 遺言書、死後事務委任契約書、任意後見契約書
  • 改葬先候補の契約書案、規則、受入条件

改葬許可関係

墓埋法上、改葬には市町村長の許可が必要です。申請では現在の墓地・納骨堂管理者による埋葬・埋蔵・収蔵の事実の証明が基本です。申請資格、使用者と申請者が異なる場合の書類、押印、複数遺骨の扱いは自治体ごとに確認します。

親族全員の同意書は一律の法定要件ではありません法的な申請要件と、紛争予防のための親族説明を分けます。「親族全員の実印が必要」「名義人なら常に自由に進められる」と一律に説明しません。

相談者への説明文例

基本説明

墓じまいは、墓石を撤去するだけの手続ではありません。現在の墓地使用名義、納められているご遺骨、移転先または遺骨の取扱方法、行政手続、墓地返還までを一緒に確認します。まずは、今すぐ進める必要があるか、現在のお墓を維持する方法がないかを整理しましょう。

子どもがいない場合

お子様がいないことは、将来対策を検討する一つの事情ですが、それだけで祭祀承継者がいないとは限りません。遺言等による指定者、親族以外の候補者、死後事務をお願いしている方なども確認し、現実に管理を引き受ける方がいない場合は、生前の墓じまいを含めて検討します。

遠方管理の場合

遠方のお墓は、交通費だけでなく、移動時間、体力、清掃、修繕、災害時の対応も負担になります。管理代行等で一定期間維持する方法と、墓じまいする方法を比べて考えましょう。

親族へ負担を残したくない場合

ご親族に負担を残したくないというお気持ちは大切です。一方で、お墓を引き継ぎたい方がいる可能性もあります。法的な同意が必要かどうかとは別に、後日の行き違いを避けるため、誰へどの範囲で説明するかを整理します。

手元供養・散骨の場合

ご遺骨を自宅で保管したり散骨したりする場合は、別の墓地や納骨堂へ移す通常の改葬とは取扱いが異なることがあります。現在のお墓がある自治体、墓地管理者、利用予定の事業者へ必要書類を確認します。

急がず確認する場合

現在は、墓地使用名義、名義変更の要否、埋葬されている方、遺骨の行き先が十分に確認できていません。一度撤去や合祀を行うと元に戻せない場合があるため、撤去業者への正式依頼は確認後に行うと安心です。

生前整理の説明

ご本人が意思を伝えられる間であれば、供養方法、連絡先、遺骨の移転先を本人の考えに沿って決められます。死亡後に資料が見つからない、埋葬者が分からないといった事態を避けるため、まず情報と希望を書面に整理する方法があります。

他士業・関係機関との連携

連携先 確認・連携する場面
市区町村 申請先、申請資格、必要書類、管理者証明、手元供養・散骨、郵送申請
現在の墓地管理者 現名義人、名義変更、埋葬記録、埋蔵証明、返還、未納、指定石材店、規則
改葬先 受入数、証明書、合祀時期、個別安置、遺骨返還、承継者、管理費
弁護士 祭祀承継・使用権の争い、親族反対、寺院との金銭問題、交渉、差止め、損害賠償
司法書士 相続登記、不動産名義、関連する登記手続
税理士 相続税申告中の支出、遺産からの負担、財産処分等
石材店・葬祭事業者 現地調査、撤去、遺骨取出し、原状回復、運搬、納骨、追加費用

成年後見人・任意後見人・死後事務受任者

成年後見人であることだけで、当然に祭祀承継者となるわけではありません。成年後見人の一般的な権限があることから、直ちに墓じまい、祭祀方法の変更、本人以外の遺骨移動、墓地返還を決定できると考えません。

  • 本人自身が有効に意思表示できるか。
  • 墓地使用者・祭祀承継者は誰か。
  • 後見人が別途祭祀承継者であるか。
  • 任意後見・死後事務委任の契約内容は何か。
  • 本人以外の遺骨が含まれているか。
  • 墓地規則と弁護士への照会の要否

成年被後見人の死亡後には、家庭裁判所の許可により火葬・埋葬契約等を行える場合がありますが、これは限定的な死後事務であり、生前の既存墓の墓じまいを当然に認める制度ではありません。

新人が気をつけたい点

確認が不足しやすい点 整える対応
子がいないから承継者不在と判断 指定者、慣習、親族外候補者、墓地規則を確認
親族が疎遠だから不在と判断 関係性と承継意思を本人ごとに確認
手元供養・散骨にも一律に改葬許可を案内 自治体、墓地、事業者の取扱いを確認
名義人の生死を確認しない 名義変更・祭祀承継手続を先に確認
移転先が決まる前に撤去 遺骨の行き先、受入条件、行政手続を先行
親族全員の同意が必須と説明 法的要件と紛争予防の説明を区別
永代供養は永久に個別管理と説明 合祀時期、安置期間、返還可否を契約書で確認
後見人なら墓じまいできると判断 後見人と祭祀承継者の地位を分けて確認
相談記録を結論だけで残す 本人の言葉、説明、未確認事項、判断過程を記録

行政書士の業務範囲

紛争の兆候があれば交渉・調整に関与しません当事者間に意見対立、権利争い、金銭問題がある、または具体的に予見される場合、行政書士は相手方との交渉、条件調整、合意形成の仲介、離檀料の調整、親族会議・説明会への同席、伝言、和解案作成を行いません。「単なる連絡」「中立的立会い」という名称でも、実質が法律上の事件に関する交渉・仲介となる場合があります。業務を停止し、弁護士への相談を案内します。

トラブル予防策

墓じまいを急がず確認する事項

  • 現名義人と生死、名義変更の要否
  • 墓地使用規則、管理料、未納
  • 埋葬者の人数・氏名
  • 改葬先または遺骨の取扱方法
  • 手元供養・散骨の自治体取扱い
  • 費用総額と負担者
  • 本人意思と祭祀承継者
  • 親族への説明方針と紛争性
  • 工事条件、合祀後の返還可能性

説明事項確認書

  • 墓じまいと改葬の違い
  • 手元供養・散骨の取扱い
  • 名義変更が先行する場合
  • 移転先を先に決める必要性
  • 合祀の不可逆性
  • 親族全員の同意が一律の法定要件ではないこと
  • 紛争時に行政書士が交渉できないこと

本人の言葉で記録する

本人は「私たち夫婦には子がいないが、甥に墓を継いでもらうつもりもない。甥の意思を確認したうえで、元気なうちに近隣の永代供養墓へ移したい」と述べた。

親族への説明方針

法的同意の要否とは別に、誰に、いつ、どの範囲で説明するかを相談者自身が決めます。行政書士は、紛争性のない段階で事実関係整理資料や一般的な制度説明書面を作成します。反対意見、条件交渉、費用争い等がある場合、説明会への同席、立会い、伝言、調整を行いません。

利益相反

  • 夫婦、親子、兄弟の希望が異なる。
  • 相談者が他の関係者へ知らせないよう求める。
  • 行政書士が死後事務受任者でもある。
  • 特定事業者から紹介料を得る。

依頼者、目的、情報共有範囲、辞任基準、事業者紹介の利害関係を明確にします。

ケーススタディ

子がいない夫婦が将来の墓管理を心配している場合

夫78歳、妻75歳。子はいません。夫には遠方に弟と甥がいます。寺院墓地には夫の父母と祖父母が埋葬されていると考えられています。墓地は自宅から約3時間で、夫は足を悪くしています。夫婦は近隣の永代供養墓を希望していますが、弟・甥には話していません。許可証を確認すると墓地使用名義は亡くなった夫の父のままでした。

避けたい初期対応

「お子様がいないので、すぐ墓じまいした方がよいです。寺院と石材店へ連絡しましょう」と進めることです。承継候補者、名義変更、埋葬者、移転先、夫婦自身の納骨、紛争性が未確認です。

確認手順

  1. 夫婦それぞれの意思と理解を確認します。
  2. 父名義からの名義変更・祭祀承継手続を墓地管理者へ確認します。
  3. 墓地規則、墓誌、寺院記録等で埋葬者を確認します。
  4. 弟・甥の承継意思を確認する方針を立てます。
  5. 親族外の指定者、死後事務委任等の有無を確認します。
  6. 改葬先の受入条件、夫婦自身の将来の納骨方法を確認します。
  7. 維持する方法と墓じまいの費用・負担を比較します。
  8. 意見対立があれば行政書士は調整せず弁護士へ連携します。

判断

夫婦とも高齢、墓が遠方、身体的負担が増し、将来の管理担当者が未定であるため、墓じまいを含めた将来対策を検討する必要性は比較的高いと考えられます。ただし、直ちに工事へ進む段階ではなく、父名義からの承継手続、埋葬者、候補者の意思、移転先、費用を整理します。

相談者への回答例

お子様がいないこと、ご夫婦ともに高齢であること、お墓が遠方であることから、将来的な無縁墓化の可能性を踏まえ、墓じまいを含めた将来対策を検討する時期にあると考えられます。ただし、直ちに工事へ進む段階ではありません。現在のお墓は亡くなられたお父様の名義ですので、まず名義変更・祭祀承継手続を確認し、弟様や甥御様のご意向、埋葬されている方、改葬先の条件を整理して比較しましょう。

次回までの確認

相談者には許可証、規則、管理料通知、墓石・墓誌写真、父の死亡が分かる資料、弟・甥の連絡先、永代供養墓資料、夫婦の希望メモを依頼します。行政書士は名義変更、自治体手続、受入条件、紛争性、選択肢比較を整理します。

実務チェックリスト|墓じまい必要性確認

本人・依頼者

  • 本人確認をした
  • 墓地使用者との関係を確認した
  • 相談権限、自由意思、判断能力を確認した
  • 同席者の圧力と利益相反を確認した
  • おひとりさま・おふたりさま事情を確認した

墓地使用名義

  • 現名義人を確認した
  • 名義人の生死を確認した
  • 名義変更・祭祀承継手続を確認した
  • 名義変更前に可能な手続を確認した

必要性・代替案

  • 指定者、親族外候補者を確認した
  • 遠方・費用・健康・無縁墓化を確認した
  • 管理代行、分担、分骨等を比較した
  • 候補者本人の意思を確認した

親族・紛争予防

  • 墓に思い入れのある関係者を確認した
  • 法的同意とは別に説明範囲・方法を確認した
  • 意見対立・紛争性を確認した
  • 紛争時は介入せず弁護士へつないだ

遺骨・移転先

  • 埋葬者の人数・氏名を確認した
  • 移転先、受入条件、合祀時期を確認した
  • 遺骨返還の可否を確認した
  • 手元供養・散骨の取扱いを確認した
  • 未定のまま撤去を進めていない

記録・説明

  • 本人の希望を本人の言葉で記録した
  • 本人と親族の意向を分けた
  • 墓じまい、改葬、合祀を説明した
  • 親族全員の同意が一律要件でないと説明した
  • 業務範囲と未確認事項を記録した

確認テスト

問題1
子どもがいない場合、法律上、祭祀承継者はいないと判断しますか。
判断しません。指定、慣習、家庭裁判所の判断、親族外候補者等を確認します。
問題2
墓地使用名義人が死亡している場合に最初に確認することは。
墓地管理者への名義変更・祭祀承継手続の要否と完了状況です。
問題3
墓から取り出した遺骨を自宅保管する場合、必ず改葬許可が必要ですか。
一律ではありません。改葬に当たらない取扱いがあるため、自治体と墓地管理者へ確認します。
問題4
親族全員の同意書は、すべての改葬許可申請で法律上必須ですか。
一律の法定要件ではありません。自治体の申請資格・必要書類と、紛争予防の説明を分けます。
問題5
成年後見人は、その地位だけで墓じまいを決定できますか。
できるとは判断しません。墓地使用者、祭祀承継者、本人意思、遺骨、契約内容を個別に確認します。
問題6
親族間に反対と費用対立がある場合、行政書士は中立的に話合いへ同席できますか。
同席・調整を行いません。紛争性があるため、弁護士への相談を案内します。
問題7
生前に整理する利点を挙げてください。
本人意思を直接確認でき、墓地・埋葬者情報を得やすく、名義や移転先を本人の関与で整理できます。
問題8
手続をいったん保留する場面を挙げてください。
本人意思不明、名義人不明、承継未了、移転先未定、紛争性、合祀の理解不足等です。

次回への接続

次回(第11-3回)「初回相談と現状確認」では、受付、本人確認・意思確認、墓地使用名義人の生死、名義変更の要否、墓地・埋葬者・改葬先の現状把握、相談票、受任保留・辞退基準を扱います。

祭祀承継者・親族関係は第11-4回、既存墓地・墓地使用権は第11-5回、改葬先は第11-7回、離檀・費用・トラブル予防は第11-13回で扱います。シリーズ構成を変更した場合は回番号と参照先を修正します。

HANAWA行政書士事務所にご相談ください相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。

本記事は新人行政書士向けの一般的な実務教材です。個別案件では、最新の法令、自治体の様式・運用、墓地使用規則、所属行政書士会の規則を確認し、判断が分かれる場合は弁護士等へ連携してください。

公的情報

HANAWA行政書士事務所|墓じまい・改葬許可申請支援業務

本人の意思を尊重し、名義・承継・遺骨・将来の供養を丁寧に整理します。

あわせて確認したいこと

相続・遺言・終活の手続きを確認したい方へ

相続、遺言、終活に関する手続きでは、戸籍、財産、関係者の状況を落ち着いて整理することが大切です。川崎市北部で家族の手続きについて確認したい方は、関連するご案内をご覧ください。

相続、遺言、任意後見、死後事務委任などをまとめて考えたい場合は、家族構成や財産、必要な手続きを整理するところから相談できます。

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