外国人を正社員として採用する場合は、まず「外国人だから特別な雇用契約が必要」というより、その方の在留資格で予定している仕事に就くことができるかを確認することが基本です。
在留資格には、就労できる活動内容が限定されているものと、就労制限が比較的少ないものがあります。出入国在留管理庁は、在留資格ごとに日本で行うことのできる活動を定めています。例えば「技術・人文知識・国際業務」は、会社との契約に基づき、技術・人文科学上の知識や外国文化に基づく能力を必要とする業務などが対象です。
そのため、採用時にはまず在留カード等で、
- 在留資格
- 在留期間
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
を確認します。
重要なのは、「正社員なら就労できる」というわけではないという点です。正社員・契約社員・パートなどの雇用形態よりも、実際に担当する仕事内容が、その方の在留資格で認められる活動に該当するかが重要です。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合は、技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング等が代表例として示されていますが、実際には本人の学歴・専攻・職歴と、会社で担当する具体的な業務との関係も確認されます。出入国在留管理庁は2026年にも同資格の審査上の考え方を更新しているため、採用時点の最新資料を確認することが大切です。
一方、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」など、身分・地位に基づく在留資格については、一般に就労活動の制限がありません。その場合でも、在留カードや在留期限等の確認は必要です。
現在の在留資格では予定している仕事ができない場合には、採用前後に在留資格変更許可申請が必要になることがあります。例えば「留学」から卒業後に正社員として就職する場合などが典型です。この場合、変更許可が出る前に、現在の在留資格で認められていない就労を開始しないよう注意が必要です。
また、会社側には入管手続とは別に、外国人雇用状況の届出があります。厚生労働省は、原則として外国人を雇い入れた場合や離職した場合に、事業主が氏名、在留資格、在留期間等を確認し、ハローワークへ届け出ることを義務付けています。雇用保険の被保険者となる場合は、雇用保険の手続とあわせて行うことができます。
採用前には、少なくとも次の事項を整理しておくとよいでしょう。
- 本人の現在の在留資格と在留期限
- 在留カードに記載された就労制限
- 採用後の具体的な職務内容
- 勤務場所
- 雇用期間
- 給与その他の労働条件
- 本人の学歴・専攻・職歴
- 在留資格変更が必要か
- 外国人雇用状況の届出が必要か
特に注意したいのは、求人票や雇用契約書では「営業」「事務」「店舗スタッフ」など抽象的な職種名だけになっていても、在留資格の審査では実際に何をする仕事なのかが重要になることです。複数の業務を担当してもらう予定であれば、それぞれの具体的な内容を整理しておくと判断しやすくなります。
また、外国人を採用する場合でも、労働基準法、最低賃金法、社会保険関係など、日本人を雇用する場合と同様の労働関係法令が適用されます。在留資格だけを確認すれば足りるわけではありません。
したがって、外国人採用では、
「現在の在留資格」
→ 「実際に担当する仕事」
→ 「その仕事を現在の資格で行えるか」
→ 「必要なら在留資格変更」
→ 「雇入れ後の外国人雇用状況届出」
という順番で確認すると整理しやすいでしょう。
業務内容が在留資格に該当するか判断が難しい場合や、複数業務を予定している場合は、採用を確定する前に具体的な職務内容を整理して確認することが安全です。