本店所在地を定款に市区町村まで書く場合と番地まで書く場合は何が違いますか?
最終確認:2026/08/09
最終確認:2026/08/09
市区町村まで、例えば「当会社は、本店を東京都○○区に置く。」と定めた場合、その区内で具体的な所在場所を変更しても、定款に定めた「東京都○○区」という内容自体は変わりません。そのため、株式会社については、同じ最小行政区画内の移転であれば、そのことだけを理由とする定款変更の株主総会決議は不要とされ、取締役会設置会社では取締役会、非設置会社では取締役の過半数の一致により具体的な移転先を決定する取扱いが示されています。ただし、本店移転の登記そのものは別途必要です。
一方、定款に「東京都○○区○○一丁目○番○号」のように番地等まで定めると、その住所から移転すれば定款の記載内容も変わるため、株式会社では原則として定款変更の手続も伴います。この点では、市区町村までの記載の方が、同一区市町村内で移転する可能性がある会社には柔軟です。
設立時にも違いがあります。定款を市区町村までの記載にした場合は、登記する具体的な本店の所在場所を別途決定します。法務局も、本店所在地を最小行政区画までしか定款に定めていない株式会社について、「本店所在場所決議書」等が必要になる場合があると案内しています。登記には、市区町村だけでなく、決定した具体的な本店所在場所を記録します。
【確認するポイント】
実際の使い分けとしては、次の点を確認すると整理しやすくなります。
定款を市区町村までとする方法には、将来の定款変更を減らせる利点があります。
番地等まで定款に定めることもできますが、住所変更時には定款変更の要否も確認する必要があります。
定款を市区町村までにしても、登記では具体的な本店所在場所を定めます。本店を実際に移転した場合には、本店移転登記が必要になります。
会社法上の定款・登記とは別に、許認可ごとに営業所・事業所等の所在地が審査事項や届出事項となることがあります。本店移転に伴う変更手続の有無や必要資料は許認可ごとに異なるため、所管行政庁の案内を個別に確認してください。定款を市区町村までにしているからといって、許認可上の住所変更手続まで省略できるわけではありません。
なお、株式会社と合同会社では機関構成や具体的な決定方法が異なります。合同会社についても、法務省は定款の本店所在地を最小行政区画までとした場合には、具体的な「本店所在場所」を別途決定する場合があると案内しています。
【確認先・次の行動】
会社設立時であれば、まず「将来、同じ市区町村内で本店を移す可能性があるか」を検討し、その上で定款を市区町村までにするか、具体的住所まで記載するかを決めるとよいでしょう。
登記手続の具体的な決議方法や添付書類については本店所在地を管轄する法務局、株式会社の設立時の定款認証については管轄の公証役場で確認できます。登記に関する個別の専門判断や代理申請については司法書士の業務領域となります。